- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

「海内在知己、天涯若比隣」
~広西大学80周年記念式典にて~

08111118.jpg 11月7~10日は、中国広西チワン族自治区の首府である南寧(ナンニン)市の広西大学と広西医科大学を訪問しました。広西大学と三重大は1999年に、広西医科大学と三重大医学部とは2006年に交流協定を結んでいます。今回は広西大学の創立80周年記念の式典に招待され、生物資源学部教授で国際交流担当の江原宏さんといっしょに訪問しました。

 中部空港から広州まで飛び、国内線に乗りついで約1時間で南寧市へ。チベット国境まで160kmのところにある亜熱帯気候の地域で、ヤシなどの熱帯性の木が生え、畑ではサトウキビなどが栽培されています。訪れる前は、少数民族の多い地域ということで、いったいどんな田舎なのだろうと思っていたのですが、なんのなんの、高層ビルが立ち並び、他の中国の都市と同じように建築中のビルがいたるところに見られました。市街地の人口は245万人とされ、これはりっぱな大都市ですね。最近の10年で街は劇的に変わったとのことでした。

 三重大学で学位をとって広西大学の教授をしている王先生と、その奥様で広西医科大学の教授をしている黄さんが最初から最後まで私たちのお世話をしてくれました。8日の午前中は広西大学80周年式典に参加、グランドに大勢の学生を集め、党書記の阳(ヨウ)国亮さんや学長、同窓生の要人、来賓代表、学生代表などの挨拶が中国語で次から次へと続きます。私の隣の席に、岐阜大から参加された副学長で医療・国際交流担当の土肥修司さん(麻酔学教授)が座っておられたので、「学生たちの統制のとれた姿をみていると、北京オリンピックが完璧であったこともうなずけますね。」などと話して時間をすごしました。岐阜大学も広西大学とは以前から深い交流があります。

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 式典の後、日本語科の学生さんにキャンパス内を一生懸命ガイドしていただきましたが、着物を着た日本語科の学生さんたちに出会い、記念撮影をしました。日本語科は1学年60人の学生が在学しているとのことです。私たちが日本から来たと知って歓声を上げていました。

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 広西大学にはその歴史を展示したりっぱな記念館があります。詳しい歴史や歴代の著名な先生方の写真や記念品など、立派な博物館になっています。ちなみに三重大学では歴代学長の写真すら飾られておらず、私が初めて10人の学長の写真を学長室にかざったことは、以前のブログで書きましたね。出口に大きな紙と筆が置いてあり、記念に何か書いてほしいと言われ、私は恥も知らずに「祝広西大学80周年」とまことに下手な字で書きました。するとそのお礼として阳(ヨウ)国亮さんが、ほんとうに素晴らしい達筆でりっぱな「書」を書いてくれました。

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 それが、ブログのタイトルにした「海内在知己、天涯若比隣」です。唐初期の詩人王勃(おうぼつ)が遠方の地に赴任する友人を見送った詩の一部で「海内(かいだい)知己を存すれば、天涯も比隣(ひりん)の若し(ごとし)」と読み、その意味は、「この世界の中に心の通い合う友人があれば、たとえ天の果てにいようとも隣同士と同じ」という意味とのことです。中国の文化の素晴らしさを感じた一時でした。

 阳(ヨウ)さんは、三重大で学位をとった広西大学の教員6人、つまり“三重大同窓生”と一緒に、両大学の連携を話し合う時間を作ってくれました。教員や学生の交流など、従来よりも一歩踏み込んだ実質的な交流を具体的にどのように進めるかについて話し合いました。

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0811115.jpg  昼食後は、アジアでも最大級の薬草植物園を見学。特に漢方薬のもとになる、おびただしい種類の木や草が植えられており、たいへん興味深いものでした。

 さて、夕食の後は学生たちのショータイムです。天津師範大学の60周年でもすばらしいショーに度肝を抜かれたのですが、広西大学のショーも素晴らしいものでした。途中で司会の学生にインタビューをされ、「学生たちに何か一言」といわれたので、「暖かく歓迎していただいてありがとう。特にこのショーはほんとうにすばらしい。」ととっさに英語で答えました。ありきたりの返事なのですが、学生たちから大きな歓声があがりました。アメリカの大学から参加した先生にショーの感想を聞いてみたところ、「すばらしい。アメリカの大学ではこのようなショーは見たことがない。これは、まさにプロ級だ“It’s really professional.”」という言葉が返ってきました。

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