- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

天津師範大学50周年記念大会で感じたグローバル化の波と中国の力(1)
~ダブルディグリー「日本語教育コース」への期待~

   8月末のカリフォルニア訪問から帰って間もなく、9月6~8日中国の天津師範大学50周年記念大会に参加するために天津を訪問しました。ブログでは、当地で感じたことを数回に分けて皆さんにご報告しましょう。

s-tensin1.jpg    副学長の東晋次さん(企画・評価担当)、小林英雄さん(情報・国際交流担当)、教育学部長の山田康彦さん、生物資源学部教授の王秀崙さんと共に中部空港からの直行便で新しい天津空港に着くと、天津師範大学で日本語教育の教鞭をとっておられる教育学部の伊藤彰男先生、佐藤廣和先生、林朝子先生の出迎えを受けました。天津師範大学と三重大学は、2年前からダブルディグリー(複数学位)制度による「日本語教育コース」を共同で運営しています。

   ダブルディグリー制度というのは、二つの大学における一連の教育プログラムを修了すれば、両方の大学の学位を授与するという制度です。今までは、二つの大学の学位が欲しければ、一つの大学で一つの教育ブログラムを修了し、また、別の大学に入り直して、別の教育プログラムを修了しなければなりませんでしたが、ダブルディグリー制度では、一つの教育プログラムを二つの大学が共同運営するので、入りなおす必要がなく、期間についてもより短期間で二つの大学の学位が得られます。すでに、日本のいくつかの大学が海外の大学とのダブルディグリー制度を開始していますが大学院レベルのダブルディグリーが多く、学部レベルでのダブルディグリーを2006年から開始したのは、たぶん日本では三重大が初めてではないかと思っています。(もし、間違っていたら、ご連絡ください。)

tianjin5010.jpg    上記の3人の先生方は、このダブルディグリー制度による「日本語教育コース」の一環として、現地で教鞭をとっておられるのです。2006年の9月にこの「日本語教育コース」の第一期生21人が入学しました。その時には私も天津を訪れて、入学式では天津師範大学の学長さんといっしょに式辞を述べました。第一期生は、天津師範大学で約2年半日本語教育の教育を受け、来年の4月から三重大学で日本人の学生といっしょに引き続き教育学を中心として教育を受けます。そして、2010年の8月に天津師範大学を卒業後、三重大学に再入学して2011年8月に三重大学を卒業する予定になっています。トータル5年間で両大学の学位を取得することになります。また、将来的には、同じようなやり方で、日本の学生向けの中国語教育コースを作ることが考えられます。

   天津師範大学での夕食会には、まだ少し時間があったので、その間を利用して、前々回のブログでご紹介した三重県商工会議所青年部連合会の会長さんの現地関連会社「万寿屋(天津)食品有限元公司」の工場を見学しました。国家プロジェクトによる広大な開発区(空港物流加工区)にエアバス社やシーメンス社など海外の大企業が立ちならんでいる光景には圧倒されました。その一画に「万寿屋」もあり、日本よりも厳しいとされる中国の安全基準に基づく工場内を見学させていただきました。

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   その後、天津市街地にある八里台のキャンパスに向かいました。副学長の王延文さんと国際教育交流学院長の鐘英華学さんの出迎えを受け、そして2年前にダブルディグリー方式による日本語教育コースの第一期生入学式に出席した時につきっきりでお世話をいただいた国際教育交流学院の田園先生と楊薇先生に今回もお世話になりました。

   まず公務委員会主任(日本の大学では理事長や事務局長のような役目)の李家祥教授が歓迎の挨拶にこられました。このようなダブルディグリー方式は、天津師範大学でも初めての経験で、大きな期待を寄せておられることが伝わってきました。また、学生募集担当の高福成さんのご努力もあって、今年の新入生は前回よりも競争が激しくなり、いっそう優秀な学生が集まったとのことでした。三重大学は質の高い大学であると評価をしているので、今後さらに両校の交流が拡大することを強く希望するとのことでした。(つづく)