- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

天津師範大学50周年記念大会で感じたグローバル化の波と中国の力(5)
~野外ステージでの1万人の学生の熱い反応と日本への期待~

 国際学長フォーラムが終了して夕食を済ませた後、再びバスで郊外の新キャンパスに向かいました。豊田学長には学生の前でインタビューに答える形で挨拶をしてもらう、と聞かされていたのですが、なかなかそのイメージがわきません。

tianjin51.jpg  会場の陸上競技場につくと、他の来賓は観客席の方に案内されましたが、韓国の大学の学長さんと私の二人は別に案内され、競技場のフィールドの中央へ連れていかれました。そこには、野外ステージが設けられ、ステージの前には、大勢の学生たちが地面に座っており、また、競技場の観客席は大勢の観客でいっぱいになっていました。入場者数約1万人とのことでした。

tianjin511.jpg  私はステージの横の楽屋裏にあたるところで、椅子に座っていてくださいと言われ、美しい女性が案内役としてついてくれました。突然、舞台演出用の白煙が発生させられ、私たちの周りは煙だらけになりましたが、大音響が鳴り始め、華やかなダンスと歌のショーがはじまりました。競技場はあたかも人気ミュージシャンの野外ライブのように、学生たちの大歓声と蛍光棒の波につつまれました。出演者は天津師範大学の芸術学院の学生が中心とのことでしたが、西洋風のモダンな振り付けに中国の伝統文化を加えた、レベルの高いまさにプロのショーでした。

 さて、私たちの出番なのですが、最初のいくつかのショーが終わったあとで、まず韓国の学長さんがステージの中央にすすみ、挨拶をされました。彼は、大学側が予定したインタビューに答えるという形ではなく、急遽、準備したメッセージを読み上げたいという希望を出され、英語でメッセージを読み上げられました。次が私の番でしたが、実は英語のメッセージが内ポケットに準備してあったのですが、大学側のシナリオ通りぶっつけ本番のインタビューに臨みました。

tianjin52.jpg  通訳をしていただいた生物資源学部教授の王さんといっしょにステージの中央に進むと、司会の女性に「三重大学は今回桜の木の植樹をされたようですが、ご感想は?」という趣旨の質問をいただきました。それで、天津師範大学と三重大学の友好の証として桜の木50本を植えたこと。そして、2年前に入学したダブルディグリー制度による日本語教育コースの学生たちが、この桜の花が咲くころに三重大学に来る予定になっていることを、王さんの通訳で話しました。

 するとどうでしょう。私の一言ひとことに、会場から大きな拍手が沸き起こり、しばらく拍手が鳴りやむのを待って次の一言を話さなければならず、そして、日本語教育コースの学生たちが来年三重大に来ることを話した時には、一種のどよめきが起こりました。

   その後、華やかなステージは夜遅くまで次から次へと延々3時間も続き、最後は花火が打ち上げられて終了となりました。 tianjin56.jpg tianjin57.jpg   このような1万人の学生たちの三重大に対する大きな期待感を示す反応に、私は、日本の留学生受け入れ数が停滞しているのは、ジャパン・パッシングや反日感情というよりも、日本の受け入れ体制の遅れの方が大きいのではないかと感じました。つまり、優秀な海外の学生を日本が獲得することは、適切な受け入れ体制の整備と国際化の努力次第で、今からでもけっして遅くはないと思いました。そして、天津師範大学と三重大学の先駆的なダブルディグリー制度が、そのための重要な方策の一つになりうると確信しました。    翌朝、日本語教育コースで学ぶ学生たちの授業中にお邪魔をしました。来年三重大に来ていただくにあたって疑問に思っていることを日本語で質問していただきました。彼らの日本語は入学時と比べずいぶんと上達したとのことでした。三重大では日本語の教育とともに、日本人の学生にまじって教育学に関する授業も受けていただく予定です。このコースが「日本語コース」ではなく「日本語教育コース」となっているゆえんです。

  最後に、今回身を粉にして私どものお世話をしていただき、天津空港まで見送りに来ていただいた天津師範大学国際交流学院の皆さんと、引き続き滞在される伊藤彰男先生の写真をご紹介して、天津シリーズのブログを終わります。

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