- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

インターンシップで三重大生が仕込んだ純米吟醸酒

sake3.jpg    3月24日に、生物資源学部の学生さんたちが、地元の造り酒屋さんでのインターンシップで作った純米吟醸酒「三翠(さんすい)」を持って、学長室へ報告に来てくれました。指導に当られた生物資源学部教授の久松眞さんと、インターンシップにご協力いただいた寒紅梅酒造の専務取締役の増田明弘さんもいっしょに来られました。

   学生たちは今年の1月4日から2月末までの期間、「蔵人体験」と称するインターンシップで、手作業の酒造りに挑戦しました。酒母造りから始まり、仕込み、搾り、火入れなどの一連の作業と、酒びんのラベルのデザインまで学生たちが行いました。話を聞いてみると学生たちは、夜遅くまで熱心に酒造りに取り組んでいたとのことでした。また、特に今年は、津市では例年になく雪が何回も降って予想以上に気温が下がり、発酵に時間がかかったとのことでした。醸造用アルコールはいっさい添加しておらず、また、天候にも影響されるとは、まさに「手作業」という言葉どおりですね。

   そして、この日は、学生たちの努力の結晶で出来上がった3種類の純米吟醸酒(「三翠」、「さんすい」、「SANSUI」)を学長へ献上にということで、持ってきてくれたというわけでした。ちなみに三翠とは、以前のブログでも紹介しましたが、三重大学の前身の一つである三重高等農林学校以来の三重大学のシンボルであり、「空のみどり、樹のみどり、波のみどり」という意味です。

   3種類の純米吟醸酒は、酒米(「五百石」と「山田錦」)の違いと酵母の違いで、微妙な香りや味わいの違いを出したということでした。また、学生たちがデザインをしたラベルもけっこうしゃれていて、これは、学生が実習で試しに作ったというレベルではなく、立派に商品として通用するレベルであると感じました。裏には、酒造りにたずさわった学生の名前が印刷されています。 

sake4.jpg    さて、肝心の味の方ですが、家に帰ってさっそく試飲をしてみました。3本ともそれぞれ、微妙な味わいや香りの違いがありますが、甘すぎず辛すぎず、高級感のあるさっぱりとしたお酒に仕上がっていると感じました。私は、酒類は専らビールかワイン党で、日本酒は少し味見をするだけで、あとはなかなか減らないことが多いのですが、今回の「三翠」は3本ともすぐになくなってしまいそうです。うちの学生が造ったから、よけいおいしく感じるのかもしれませんが。  

このような現場で実体験をさせていただく教育は、講義や実習では絶対に得られない大切なことが身につくと思っています。三重大学が推し進めているPBL(problem-based learning またはproject-based learning)の典型的な成功事例であると思いました。