- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

注目される健康食品の「臨床試験」や薬の「治験」
~みえ治験医療ネットワーク推進委員会にて~

s-01.jpg    2月21日に「みえ治験医療ネットワーク推進委員会」が、三重大学医学部内の会議室で開かれました。委員長は附属病院長で、委員としては、私以外に、三重県健康福祉部長さん、三重県歯科医師会長さん、三重県薬剤師会長さん、そして、実際にみえ治験医療ネットワークを動かしているNPO法人みえ治験医療ネット(http://www.mie-cts.net)常務理事で三重大学医学系研究科臨床創薬研究学講座教授の西川政勝さんが出席されました。

   みえ治験医療ネットは2003年に設立され、西川先生のたいへんなご努力により発展し、三重県のバレー構想の一つ「みえメディカルバレープロジェクト」の欠かせない要素になっています。大学病院を中心に、三重県下の主要な病院や診療所のご協力をいただいています。治験のネットワークをうまく機能させることは難しく、なかなか真似のできないことのようで、他府県からも見学者が訪れています。

   みえ治験医療ネットでは、新しい薬ばかりではなく、健康食品の臨床試験を数多く引き受けているのが特徴です。健康食品の臨床試験では、本学のキャンパスインキュベータに入居しているベンチャー「機能食品研究所」が食品メーカーなどの窓口となり、みえ治験医療ネットが協力・連携して臨床試験をしています。

   ところで、みなさんは「治験(ちけん)」という言葉を知っていますか?新しい薬が開発された時に、人での有効性や安全性などを調べる臨床試験ですね。今、わが国の「治験」の体制は、諸外国に比べて立ち遅れており、わが国で開発された新薬でさえも、まず海外で治験が行われ、海外で市販が開始されてから、日本に遅れて導入されるという事態(ドラッグ・ラグ)が起こっており、これは「治験の空洞化」と呼ばれています。厚生労働省も、わが国での治験体制を整えるために、最近(2007年)治験中核病院や拠点病院を指定しましたが、三重大学附属病院は全国30拠点病院の一つに選ばれています。

    くすりや健康食品の効果や副作用の有無を確認するためには、「治験」や「臨床試験」はどうしても必要なプロセスです。かつてテレビ番組で「さらさら血液」に有効な食物が紹介されたら、たくさんの方々がいっせいにその食物を買いに殺到したということがありました。でも、あとで、それが根拠のないことであることがわかり、テレビ局が陳謝をしました。きちんとした臨床試験がなされていないために、このような迷惑が多くの人々にかかるわけです。

s-02.jpg    また「治験」や「臨床試験」という言葉が、一般の人々にはあまり馴染みがなく、誤解を招きやすい言葉であることは、多くの皆さんにご理解をいただくためにも好ましいことではないと感じています。特に健康食品の効果を確かめる場合には、何かもっと適切な言葉はないものですかね?良いアイデアがあれば、ぜひ西川さんに教えてあげてください。(mie-cts1@clin.medic.mie-u.ac.jp