カイゼン活動は楽しくやろう
~問題解決の手法はPBL教育と同じ~
みなさん、カイゼン活動というのをご存知ですか?そうです、トヨタの「カイゼン」が有名ですよね。英語にもなってkaizenという言葉が辞書にも載っています。一時期ほどのブームはないようですが、トヨタやデンソー、花王といったバブル後の不況をものともせずに成長を続けた企業で、今でも粘り強く続けられています。
実は三重大学も3年前から一般職員の間で、カイゼン活動をやりはじめているのです。まだまだ、トヨタさんの足元にも及ばないと思っていますが、毎年発表会もやっています。1月29日にも発表会があり、優秀な取り組みをしたグループに学長から「優秀賞」をお渡ししました。
発表会の時には、毎回学長が話をすることになっています。今回は「問題解決の手法を身につけよう」というお話をしました。
まず、問題の「原因」について、「なぜ」という問いかけを何回も繰り返して、みんなのアイデアをできるだけたくさん洗い出し、その中からこれという原因をしぼり込み、その仮説をデータでもって確かめること、次には、「対策」についても同じようなプロセスで考えるという、教科書に書いてある問題解決の手順を説明しました。
また、発表会とは別に、いろいろな職場から若手の職員に集まってもらって、小グループに分かれて問題解決の練習をしていただきました。昔からあるKJ法とか、フィッシュ・ボーン(さかなの骨:特性要因図)などのツールを使って、三重大学の「カイゼン活動」を「改善」するためにはどうすればいいか、という問題を検討してもらいました。
みんなで、ああでもない、こうでもないとわいわい言いながら、共通の問題をいっしょに解決することや、課題を達成することは、小集団であるがゆえの効果(グループ・ダイナミクスと言います)がうまく働けば、なかなか楽しいものです。このような、いわゆるグループワーク(小集団活動)を初めて体験した若手の職員のみなさんは、目からうろこが落ちたと言っていました。
たとえば、節約をしろと上司に言われても、何かくらーいイメージを感じますよね。そのようなくらーい事を、楽しい作業に変えてくれるのが、小集団活動による問題解決の手法だと思います。
実は三重大学が取り組んでいる「PBL教育」つまり、小集団による問題解決型あるいはプロジェクト達成型の授業も、原理は同じなのです。また、環境教育の一つとしてISO14001認証取得を通して、学生さんのグループに環境問題への取り組みをしていただいていますが、このような環境活動も、みんなで問題を解決するということでは同じです。
学生さんも、職員も、発表や試験の前になって詰め込みで苦痛に満ちた徹夜をするのではなく、ふだんからみんなで問題解決を楽しみましょう。