- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

"としかんゼミ"とは?
~35年間も続いているすばらしい交流の場を大切にしよう~

   三重大学特命学長補佐の渡邉悌爾さんから、 “としかんゼミ”の「35周年の集い」で記念講演をして欲しいと依頼があったのは、昨年の11月ころだったでしょうか。“としかんゼミ”の正式名称は「都市環境ゼミナール」と言いますが、関係者のみなさんは、“としかんゼミ”という愛称で呼んでいます。渡邉悌爾さんは、このゼミの古くからのメンバーです。今日は、このすばらしいゼミについてご紹介いたしましょう。

toshikan3-1.jpg    このゼミは、三重大学の人文学部の創設にご尽力をいただいた、初代人文学部長の伊藤達雄先生(前名古屋産業大学長)がまだ若かりし頃の1972年に、三重大学で初めての公開講座「都市環境デザインの理論と実際」を実施されたことに端を発します。当時伊藤先生は教育学部の助教授でした。そして、その公開講座に参加した有志が、講座終了後の翌年から「自主ゼミとして継続しよう」という趣旨のもとに発足しました。当時は公害問題が深刻な時代で、「公害」という言葉が盛んに使われましたが、まだ「環境」という言葉は、それほど使われておらず、「環境」という言葉をゼミの名前に掲げられたことは、伊藤先生の先見の明ということでしょう。以後、実に35年もの長きにわたって、毎月例会や国内外の視察などの活動を続けてこられました。 

   1月28日、会場のホテルグリーンパーク津に行ってみると、企業の方々や、県議会議員の方々、三重県、津市の方々など、この地域の多方面の有力な方々が多数出席しておられました。それに「自主ゼミ」とは言っても会員は200名、本日の出席者は70名を超えており、このゼミがこの地域社会に大きな影響力を与えてきたことがうかがわれました。

toshikan1-1.jpg    記念講演では「地域圏大学の挑戦」というタイトルでお話をしました。1時間の講演でスライド枚数が90枚にもなってしまいました。三重大学のこの地域に貢献している活動を、できるだけたくさん皆さんに説明をしたいと思うと、あれもこれもということで、どんどん枚数が増えていき、90枚にもなってしまったのです。講演の内容については、「三重ふるさと新聞」に詳しく紹介していただきましたので、ぜひご覧ください。(三重ふるさと新聞記事

toshikan2-1.jpg    記念パーティーでは、副知事の望月達史さん、津市長の松田直久さん、津商工会議所会頭の竹林武一さんがあいさつをされ、アトラクションとして、名古屋産業大学で伊藤達雄先生が指導されているモンゴルの大学院生が、まさにプロ級と言ってもいいと思いますが、すばらしいモンゴルの伝統的な歌と舞と奏楽を演じてくれました。

toshikan4-2.jpg “としかんゼミ”は、環境に関する科学的知識の向上・普及をはかることを目的としていますが、このような個人、NPO、自治体、企業からなる活動が、実に35年の長きにわたって活発に続けられたのは、その内容が時代の要求にマッチしていたことと、伊藤先生のご人徳の賜物だと思います。政治や特定の価値観からは距離をおきつつ会を運営されたことも、幅広い人脈からなる交流の場となった大切なポイントでしょう。このゼミは、三重県の貴重な財産として、そして、地域貢献を掲げる三重大学がリーダーシップをとって、今後も大切に永続・発展させるべきであるという思いを強く持ちました。