- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

異質のものがいっしょになって新しいものが生まれる
~みえメディカルバレー・第1回統合医療研究会~

     11月26日に「みえメディカルバレープロジェクト」の一環として行っている「みえメディカル研究会」の11番目の研究会として「統合医療研究会」が発足し、第1回研究会がJA三重ビル会議室で開催されました。

   「みえメディカルバレー」は、産学官連携により、この地域の医療・福祉・健康産業の振興をめざそうとするプロジェクトで、日経バイオによるわが国のバイオクラスターランキングで4位という高い評価をいただいています。この統合医療研究会は、鈴鹿医療科学大学鍼灸学部の佐々木和郎教授中心にして、統合医療を三重県から発信するため、医療機関、企業、県民を巻き込んだ新たなビジネスモデル構築の研究をめざして設立されました。

    講演では、まず森 和 鈴鹿医療科学大学鍼灸学部長が「統合医療の世界戦略、米国と中国」と題して国際的にますます活発になりつつある統合医療をお話になり、次に佐々木先生が統合医学の科学的評価方法や健康産業への応用についてお話になりました。「肩こり」という西洋医学ではとらえどころのなかった現象を、物質的な変化として科学的に捉え、鍼灸の効果を測ろうとするご研究はたいへん興味深いものです。

    さて、統合医療(integrative medicine)とは、21世紀の医学とも言われ、西洋医学だけではなく、東洋医学も含めたさまざまな相補・代替医療 (complementary and alternative medicine: CAM)を取り入れて、統合的な治療やケアをしていこうとする医療です。

    わが国では明治時代まで東洋医学が主流でしたが、医科大学が設立され西洋医が増えていくにつれて西洋医学が主流となり、東洋医学は一時下火となりました。しかし、最近、欧米で相補・代替医療や統合医療として東洋医学が評価をされはじめ、その結果、逆輸入される形で、わが国でも統合医療や東洋医学が見直されるようになってきました。

    統合医療に限らず、異質のものがいっしょになることによって、新しいものが生みだされるのだと思います。ただし、いっしょになってうまくいくようになるまでには、共通の価値観を見つける双方の努力と年月も必要なんでしょうね。私と家内のように。