- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

時代を先取りする国立大学と私立大学の連携の試み
~三重大学・鈴鹿医療科学大学合同講演会~

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    12月14日(火)三重大学と鈴鹿医療科学大学は包括連携協定(07年6月22日締結)を結んでいます。その最初の事業として「三重大学・鈴鹿医療科学大学合同公開講演会」が鈴鹿医療科学大学で開かれました。大学、関連団体、行政、企業などの関係者、学生たちで300席あるホール内はいっぱいでした。

    控え室では3分であいさつを終わるよと言っていたのですが、「12月4日に鈴鹿医療科学大学の薬学部設置が国から正式に認可され、おめでとうございます。」「今後は、三重大学とともにこの地域にいっそう貢献しましょう、」「国立大学と私立大学は一見異質に見えるかもしれないが、教育や研究を通して地域に貢献するという目的は同じなので、連携は十分できます。」「今、国のほうで、国立大学と私立大学の連携をうながす制度が検討されており、両大学の連携は、そのような時代の流れを先取りするものです。」などと話しているうちに、ちらっと時計をみると10分たっており、あわてて、結びの言葉を言ってあいさつを終わりました。そう言えば、最近、挨拶の前に、関係者のかたから「短くお願いします。」とたいてい言われるのは、こういうことだったのか、と思いました。      

 つぎに、鈴鹿医療科学大学長の作野史郎さんが、両大学の連携への強い期待を話され、最後に理事長の高木純一さんが薬学部設置の経緯について説明しました。特に高木さんは、薬学部設置を一時ほとんどあきらめsuzuka3.JPGかけたこともあり、苦労の末に実現した薬学部の正式認可、そして、三重大学との連携の最初の事業が行われるこの日を、ほんとうに感慨深く感じておられることが、回りの人々にも伝わってきました。

    基調講演では、三重大学部附属病院長の内田淳正さんが「三重県の医療~現状と今後の在り方~」について話され、日本でドイツ医学が導入されたいきさつ、医局制度の由来、三重県の医学の先駆者、三重県の医療の現状などについてわかりやすく話されました。中でも、以前はボスとして君臨していたかもしれない臨床医学の教授が、今では疲れきっていることを、かつては威厳のあったボスザルと、目をつぶって瞑想している年老いたサルの写真を例にあげて説明されたのには、会場が爆笑のうずに巻き込まれました。  

suzuka2.JPG    記念シンポジウムでは、三重大学医学部長の駒田美弘さんが「三重大学医学部の医師看護師教育と医療人の養成」、鈴鹿医療科学大学薬学部設置準備室長の川西正祐さんが「鈴鹿医療科学大学薬学部の役割と特徴」、鈴鹿医療科学大学医用工学部長の矢田公さんが「コメディカル教育と鈴鹿医療科学大学の役割」というテーマでお話になり、コメンテータとして、三重県医師会長の中嶋寛さん、三重県薬剤師会会長の上村武さん、三重県薬事工業会会長の田山雅敏さんが、それぞれの立場から、新しい薬学部と両大学の連携への期待をコメントされました。

    今後、この時代を先取りする国立大学と私立大学との連携の試みを、単なる協定文書の交換だけに終わらせずに、実際に機能するものにしたいと思っています。