- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

三重大学と和歌山大学との連携について
~「連携」と「統合」の違い~

 三重大学と和歌山大学とは2004年に包括的連携協定を結んでおり、いろいろな面で協力・連携をしようとしています。例えば、今までにも東海、東南海、南海地震等の災害対策に関するプロジェクトをいっしょに実施し、共同で予算要求などもしています。学長や幹部が定期的に意見交換をしており、教育・研究をはじめその他の業務についても、いっしょに協力して連携できることを検討しています。去る9月3日にも和歌山大の小田学長や役員の皆さんが三重大学にお越しになり、防災関係の共同研究、科学研究費の共同申請、各自治体との連携、紀伊半島地域での共同研究や連携、入試業務での連携、e-ラーニングでの協力や遠隔授業の単位互換、動物実験における審査協力等々、さまざまなテーマについて、ブレインストーミング的に意見が交換されました。また、小田学長には、和歌山大学の経済学部観光学科創設の苦労話を大学構成員にお話していただきました。

 ところで、2つの組織がいっしょに何かをしようとする場合に「連携」という言葉と「統合」という言葉があって、この二つの言葉の使い方には、細心の注意をする必要があると思っています。一般的に大学関係者は、組織機構の一部または全部を合体させることを「統合」と捉え、「連携」とは組織機構の合体を伴わない協力関係と捉えている方が多いと思います。特に組織の構成員にとっては、「統合」という言葉は、たいへん重い言葉であって、「連携」とは全く異なる意味をもっています。

 ちなみに国語辞典には、統合とは「二つ以上のものを合わせて一つにすること」と記載されており、「連携」とは「互いに連絡をとり協力して物事を行うこと」と記載されています。二つの組織が共通した業務を一緒に行うことを「統合」と言うかどうかですが、「業務統合」という言葉もさかんに使われており、必ずしも組織の合体を伴うとは限らないようです。組織が合体することを表現する言葉としては「合併」があり、辞書で引くと、「二つ以上のもの、特に組織などが一つに合わさること」となっています。ただし、「連携」と「統合」という二つの言葉は、誤解を招きやすい言葉には違いありません。

 三重大学と和歌山大学は、組織の合体という意味での「統合」は考えていませんが、今後も、教育、研究、地域貢献、その他の業務でさまざまな「連携」を進めていきたいと思います。