- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

カルチャー講座を超える市民生涯教育に向けて

culture1.jpg  10月31日の夜「三重大学・志摩市文化フォーラム2007」の6回目が阿児ライブラリー・アートホールであり、修了証書をお渡しするというので、私も出向きました。今回は、皆勤賞(6回出席)精励賞(5回出席)をお渡しする方が30人程になり、昨年よりも増えたとのことでした。三重大学は、数多くの公開講座や市民講座を開催していますが、「三重大学文化フォーラム」もその一つで、三重県内の3箇所で市町との共催という形で、無料で提供しています。この文化フォーラムでは、住民の皆さんとの対話を重視し、1時間の講義の後に質疑の時間を30分とっています。

 今回の講師は、工学部建築学科の浅野 聡先生で、タイトルは「まちづくりのとびらをひらく『協働型まちづくり』の実践」でした。浅野先生は、市町村合併前の大山田村、上野市、関町、伊勢市などで、住民といっしょに地域のまちづくりを支援されたご経験から、また、今年の6月には、広島県で町つくりをめぐって生じている住民間の争いをとりあげたNHKのテレビ番組にコメンテーターとして出演されたご経験から、市民、企業、専門家、行政の協働によるまちつくりの大切さを、わかりやすく説明されました。

住民の方々にまちつくりの計画段階から考えていただき、現場で学習していただいて、最終的に住民と行政の双方が納得する案にまとめあげるプロセスを専門家の立場から支援をする浅野先生の手法は、現在三重大学内の学生教育で進めているPBL授業(問題解決型学習、プロジェクト達成型学習)にも通じるものがあると感じました。

浅野先生のお話は、単なるカルチャー講座を超えて、市民の方々に、明日からの町つくりに積極的に参画するように行動を促すものであったと思います。聴衆の行動に影響を与える講義ができれば、これほどすばらしいことはないと思いますが、実際にはたいへん難しいことです。三重大学の先生方が、この難しいゴールを目指して努力を続けていることに、身内を褒めるようで恐縮ですが、学長としても、たいへん誇らしく感じました。

今回の住民の参加者に、「もし皆さんのご要望が強ければ、来年度も開催することを検討したい。」と申し上げたところ、全員から熱烈な拍手が沸き起こりました。このような市民講座や公開講座を地道に継続する活動は、地域に根ざすことを掲げる三重大学の大切な地域貢献活動であると改めて感じさせられました。

(この場を借りて、今回のフォーラムに参加をいただいた住民の方々、志摩市の職員の皆様、三重大学の廣岡義隆、住田安弘、吉岡基、木村妙子、浅野聡の各講師の先生方、鹿嶋洋、中川正、森正人、菅原洋一、松井純の各世話人の先生方に心から御礼申し上げます。また、このフォーラム以外にも三重大学が関わる市民講座や公開講座に参加いただいている住民の方々、行政の皆さん、三重大学の先生方に心から御礼を申し上げます。)