- 学長ブログ ある地方大学長のつぼやき -

三重大学長の「つぶやき」と「ぼやき」のブログです。

心配される日本の科学技術の衰退をブログで訴え続けます
~"つぼやき"ブログの管理を個人管理に移します~

  “つぼやき”ブログの読者の皆さん、新年あけましておめでとうございます。旧年中は政権交代を含めていろいろなことがありましたね。前政権の時にも、国立大学の予算が削られましたが、民主党政権になっても、引き続き国立大学予算は削られ続けます。私が三重大の学長をしていた頃よりも、ますます厳しくなっていき、大学にとっては冬の時代ですね。

 日本医師会雑誌の1月号に私の論説が載りました。「臨床研修制度の影響・見直しと今後の展望」という特集の中の「3.臨床研修制度が大学院教育・研究にもたらした影響と展望」というものです。臨床医学においても、基礎医学においても、我が国の大学の国際的論文数が2000年頃から驚くべきカーブで低下をしています。海外の主要国では軒並み右肩あがりで、医学領域でのわが国の国際競争力の低下が一目瞭然です。

 そんな状況にも関わらず、大学予算が削られつづけると、日本の科学技術がいったいどうなるのか、たいへん心配です。これは、医学だけではなく、同じことが他の分野でも起こります。

 このことを学長時代にも訴え続けてきましたが、全然ダメでしたね。そんなことで、今後もブログで訴え続けたいと思います。

 ところで、ブログの管理を三重大学にずっとお世話になってきましたが、この度、個人の管理に移すことになりました。
http://blog.goo.ne.jp/toyodang

 引き続き皆さんのご愛顧をお願いいたします。

かいぜん活動を楽しくやろう!
~三重大学業務改善推進セミナーと初任者研修にて~

 12月2日(水)に岡山大学総務課長の菅原康宏さんが、「岡山大学における業務改善」というテーマで三重大でお話をされたので参加しました。菅原さんは、民間企業でのご経験を生かし、1年半前まで文科省の大学会計担当の専門官としてご活躍になりました。私も、学長時代に菅原さんにたいへんお世話になりました。菅原さんは、新任地の岡山大で、業務改善を精力的に推し進められています。すべてをご紹介することは紙面の関係でできませんが、最後の“まとめ”のスライドだけ皆さんにご紹介しましょう。

<まとめ>
業務改善の成功のため、「よそ者、若者、馬鹿者」になろう
・業務改善の成功には「よそ者」の客観性、「若者」の柔軟な思考、「馬鹿者」の愚直さ、一途さが不可欠
・客観性と論理性があり、その上で、公のための熱意があって、はじめて人は動く。
・現状の客観的把握・分析により、何をしなければならないかが共有される。
・何のための業務改善かを常に意識しよう。
・何をどうしたいかを明確化しよう。
・その上で、適切な手段を講じよう。
・最初から大きな「成功」を焦ることはない。小さな「成功」を積み重ねよう。
・そして、業務改善を通じて、大学と共にあなたも成長しよう。
・「成功」のために、何がいつまでにできればよいか、逆算して考える習慣を付けよう。
業務改善の主役は、あなたです。さあ、行動しよう。

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 さて、今度は私の出番です。12月10日(木)は三重大職員の初任者研修の第一日目。私も講師を頼まれ、お引き受けしました。午後3時に三重大の会議室にいくと、プロの講師による“接遇”の講習が終わったところ。私の担当は“業務改善活動”についてです。この1年間に三重大の常勤職員になった新人25人に対して、まずスライドで講義。

 大学を取り巻く厳しい環境、“運営”と“経営”の違い、大学のビジネスモデル、三重大のミッション、PDCA(計画―実行―評価―改善)といった、経営の初歩の説明から始め、ミッション達成のために、顧客の視点、財務・効率の視点、職員の成長の視点、危機管理の視点の4つの視点で改善・改革のPDCAを回し続けようと訴えました。

 そして、ふだん心がけるべき7つのキーワードとして「失敗を恐れるな」、「必死のコミュニケーション」、「有言実行」、「タコつぼを壊そう」、「見える化」、「5回のなぜ」、「命令から問いかけへ(コーチング)」を紹介しました。
 
 次はいよいよ本番です。ブレーンストーミングと、原因追求型特性要因図(魚の骨)という基本的なツールについて説明し、5つのグループに分かれて、実際に現場の問題を考えていただくことにしました。

 この日は、財務・効率化の視点による業務の改善を考えようということで、まず各グループの皆さんに、それぞれの職場で無駄と思われることをブレーンストーミングで洗い出していただき、その中から、この日に検討するテーマを選んでいただきました。「なぜ有給休暇が消化できないのか?」、「紙の無駄がなくならないのはなぜか?」、「超過勤務がなぜなくならないのか?」など、どこの職場でも困っているテーマが取り上げられました。

 最初は少しとまどっているようでしたが、じきに活発な議論になり、各グループとも短い制限時間の中で、原因追求型特製要因図を完成できました。

 業務改善活動というと、余分な仕事をやらされていると受け取る人もいるかもしれませんが、皆でああでもない、こうでもないとワイワイガヤガヤ議論すると、あっという間に楽しく時間が経ってしまいますね。今回の新人の皆さんには、改善活動が、とっても楽しいものであるということを実感していただいたと思います。

 経費の節減努力なんて誰も楽しいこととは感じないと思うのですが、“かいぜん”活動は、それを楽しく感じさせてくれる方法だと思います。「かいぜん活動を楽しくやろう!」これが極意ですね。楽しければ長続きするし、どこの職場にも広がっていくと思います。

 民主党政権によって、自民党政権の時代よりも激しく大学予算が削減されようとしている中で、大学の機能(教育・研究・地域貢献)を低下させるどころか、むしろ高めるように、現場の皆さんの“楽しい”かいぜん活動による創意工夫をお願いしたいと思います。

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大学病院機能の低下と、科学技術三流国への転落の結果責任は
いったい誰がとるのか?
~民主党議員との懇談より~

 さて、前回のブログで、東京タワーの夜景を写真におさめた翌日の12月4日(金)午前10時半に、国立大学附属病院長会議の幹部の皆さんと、いざ衆議院第1議員会館へ。今までの自民党政権下での国立大学病院に対する予算削減で、経営危機に陥ると同時に研究機能が低下して疲弊をしている大学病院の窮状を民主党の議員さんに説明するためです。

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09121004.JPG 衆議院第1議員会館の会議室で、大学病院問題に関心のある議員さん6人と面会。(櫻井充参議院議員、岡本充功衆議院議員、梅村聡参議院議員、吉田統彦衆議院議員、仁木博文衆議院議員、大山昌宏衆議院議員)このうち5人はお医者さんです。民主党にはけっこうたくさんお医者さんがいらっしゃいますね。

09121005.JPG こちらは、河野千葉大病院長(常置委員長)、浅香北海道大病院長、坂本東京医科歯科大病院長、五十嵐筑波大病院長、松尾名古屋大病院長といった陣容で、私は国立大学附属病院長会議顧問という立場で加わりました。

 

 まず、河野病院長と松尾病院長が国立大学病院の窮状をデータにもとづいて説明。議員さんがたからの質問に答える形で、懇談が進みました。
 
 大学で医師として働かれた経験のある議員さんが多かったので、大学病院の問題については、ある程度ご理解をしておられました。議員さんたちからのご質問やご意見の一部をご紹介しましょう。

 

○交付金を増やすということで現在の様々な問題が解決するのか。
○地域医療は大学病院の主たる役割なのか?(その後の質疑で各大学病院が無くなれば現状の地域医療が崩壊することについては理解された模様)
○政権が変わったのであるから、大学病院の機能を見直し、新しい枠組みでの体制を作った方がよいのではないか。
○大学病院においてつまらない雑用を医者が行っているようであれば、それを外してやらないと教育・研究は進まないだろう。
○初期研修医の問題については、元々の考え方そのものが間違っていたのではないか?
○運営費交付金を大学に安定的に供給する仕組みが基本と考える。国が責任を持つ安定的な仕組みを、数や内容も含めて考えていく必要がある。

そして、

○政治の方で国立大学病院あり方の青写真を作る必要があり、そのために今回のような意見交換を定期的に開催する必要を感じた。
○当座やることとして、運営費交付金の引き上げ、病院の長期借入金債務の負担軽減、特定機能病院に対する診療報酬見直し、地域医療における大学病院の人材派遣機能の適正な評価については了解した。

 

ということで1時間半にわたる熱心な懇談会は終わりました。

 私どもにとっては、大学病院問題の解決に一縷の望みを感じられる懇談会でしたが、そんなにうまく問屋はおろさないのではないかという懸念も残りました。

 一般的に多くの議員さんには、現状の国立大学の数は多いという考えがあるように思われ、また、研究は旧帝大でやればよく、地方大は人材養成でという考えが感じられます。これは、私が地方大学の立場から批判をしてきた、自民党の経済財政諮問会議の「選択と集中」の考えとあまりかわらないように思われます。

 また、今回懇談をした一部の議員さんにご理解をしていただいても、民主党全体の意思決定に至るには遠い道のりがあると思われます。

 仮に大学病院が救われても、大学自体への予算が一定であれば、シーソーゲームのように他学部の予算が大きく削減されることになり、医学以外の学問分野においても、業績が急速に低下する恐れがあり、また、私学においても厳しい経営状況により、研究する余裕が次第になくなりつつあると思います。

 私が、ブログでずっと訴えてきた大学病院の機能低下と科学技術三流国への道がいよいよ現実になるかもしれないと危惧しています。科学技術は選挙の票になりにくいということから民主党のマニフェストにほとんど書かれていないことも大きな問題ですね。この結果責任はいったい誰がとってくれるのでしょうか?

忙しい日を癒してくれるイルミネーション
~戦いの前夜に撮った東京タワー~

 鈴鹿医療科学大学と三重大学学長顧問、三重県文化振興事業団の理事長、そして国立大学附属病院長会議顧問という、いろいろな草鞋を履いて忙しい毎日が続いているのですが、仕事で疲れた時にほっとさせてくれるのがイルミネーションですね。私の活動範囲におけるイルミネーションをご紹介しましょう。

S09120401.JPG    まず、三重県立総合文化センターのイルミネーション。毎年の恒例になっています。11月21日に点灯式が行われましたね。カウントダウンも行われて、楽しかったですよ。
     
S09120402.JPG    次は鈴鹿医療科学大学のイルミネーション。医療福祉学科のみなさんががんばってくれました。11月27日に点灯され、中日新聞でも紹介されましたね。
 

S09120403.JPG  さて、これは、言わずと知れた東京タワー。実は国立大学附属病院長会議の幹部の会議が、11月4日に東京医科歯科大学で開催されるのですが、午前中に民主党の議員さん6名に国立大学病院の現状を訴えることになり、朝早くから集合の号令がかかったんです。それで、急きょ東京に前泊をすることになり、3日の夜11時頃宿泊先の東京プリンスホテルに到着し、すぐそばにある東京タワーを写真に収めたというわけです。

 大学病院問題については、自民党政権下における国からの予算の削減で、危機的状況にあることを私のブログで何度も書きましたが、民主党政権になっても、例の事業仕分けとやらの影響もあって、輪をかけて厳しい状況になるかもしれないんです。

 民主党議員への説明資料の中には、私が調べた、日本の医学論文が減少して世界が右肩上がりの中で、唯一国際競争力が低下していることを示すグラフも、もちろん入っていますよ。

 どのような感触だったかについては、また、後日のブログでご紹介しましょう。

事業仕分けのパブコメに意見を送ろう!!
~「子どもゆめ基金」廃止で"青少年のための科学の祭典"の存続はどうなるのか?~

20091201_001.JPG 11月28日(土)、29日(日)青少年のための科学の祭典が、三重大学講堂で開催されました。平成4年に大都市で始められたこの祭典を三重県では平成11年に開始し、現在では県内4ヵ所で毎年開催して、すっかりこの地域の子供たちが、心待ちにしている科学教育イベントに定着しました。この、三重大会の実行委員長は豊田が、そして三重大学大会の実行委員長を三重大学長の内田淳正さんが務めています。

20091201_002.JPG 今年は新型インフルエンザの流行のために、2か所で開催中止や延期となり、亀山大会と三重大学大会だけとなりましたが、28日には、開館前から入口で待ち構えていた親子連れのみなさんを初め、たくさんの方々(2日間で2800名)に来場していただきました。三重大の先生方や学生さんはもちろん、鈴鹿医療科学大学など県内の高等教育機関や、中学校の先生や生徒さん、三重県立博物館、地域の科学サークルの皆さん、企業のみなさんなど、実にたくさんの地域のみなさんにボランティア的なご協力をいただきました。

 今回の目玉は、何といっても三重大教育学部の学生さんが作詞・作曲した、「科学のうた」の初めての演奏でしょうね。(立河玲奈作詞、大久保友加里作曲、森川孝太朗・根津知佳子監修)

    ♪♪ 世界のふしぎを、さがしだそう 20091201_003.JPG
        魔法みたいな サイエンス 
        ふしぎのしくみを見つけよう
        あなたも わたしも大発見  ♪♪

 

 とっても楽しい歌でしたよ。全国に広まることを期待しています。作詞・作曲、演奏に係わった皆さんといっしょに記念写真におさまりました。

 どのブースもすばらしい工夫をこらして、子供たちが大喜び。3年前から始めたサイエンスショーもすっかり板についてきましたね。中学校の生徒さんもブースで子供たちの相手をしているんですよ。人に教えることで、自分の教育にもなる。これこそ、ほんとうに素晴らしい教育だと思います。「スライムを作ろう」というブースは三重大と連携している一身田中学のみなさんです。校長の笠原哲さんと、この科学の祭典の実質上の立役者である三重大教育学部教授の後藤太一郎さんと記念写真。

20091201_007.JPG   20091201_008.JPGのサムネール画像

 このブログですべてのブースをご紹介できないことを心苦しく思うのですが、私が副学長をしている鈴鹿医療科学大の医療栄養学科の先生、若林成知さんと学生さんが「紫キャベツでびっくり!」というブースを設けていたので、ちょっと覗いてみました。紫キャベツの紫色の色素(アントシアニン)をアルコールで抽出。中性では紫色ですが、酸性にするとピンク色、アルカリ性にすると鮮やかな緑色に変わるんですね。子供たちがふだん食べている食品で、科学の不思議さを感じてもらえる楽しい展示でした。

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 ところで、とっても心配なことがあるんです。それは、今回の民主党の「事業仕分け」で「子どもゆめ基金」が「無駄」であり、廃止にすべきとされたことです。実は、この三重大会は「子どもゆめ基金」からご支援をいただいているんです。日本の各地域で行われている科学の祭典の多くは「子どもゆめ基金」からのご支援で成り立っています。

 科学の祭典は、多くの地域のみなさんのボランティア的な連携協力活動によって支えられていますが、いくらボランティアと言っても、科学実験の材料やブースの設置に必要な最低限のお金が要りますよね。このままでは、わずかの支援金も途絶えてしまい、子供たちに科学のおもしろさを感じてもらい、資源の乏しい日本を科学技術創造立国にすることに貢献しようという、せっかくの草の根の公共活動がしぼんでしまいます。

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 国や地域の財政難から、「新しい公」のスローガンのもとにNPOなどが奨励されてきましたが、これはボランティア的な活動に、わずかの公金を支援することにより、より効率的な社会貢献や行政の仕組みを作ろうというのがその趣旨だったと思います。青少年のための科学の祭典への「子どもゆめ基金」からの支援も、同じような趣旨です。もし、青少年の科学の祭典にかかる費用(たとえば人件費など)をすべて計上すると、とっても高額になるんですね。それを、わずかの支援金で大きな効果を生み出している。これほど「効率」が良く「費用対効果」のある事業は他にないと思います。これを「仕分け人」は「無駄」と決めつけてしまうんですね。

 小泉政権下でも、大学予算削減など科学研究に関係する予算が削減され、先進国の科学技術予算や学術論文数が軒並み右肩上がりである中で、我が国の科学技術予算と学術論文数は停滞し、特に医学の学術論文数は減少し、国際競争力が大きく低下しましたが、民主党政権下では、それに輪をかけて、科学技術が痛めつけられるという感じです。

 ノーベル賞学者たちが、事業仕分けによる科学技術予算の削減に対して反論し、大学の学長さんたちも反対声明を出しましたが、私は、草の根レベルからの意見も必要であると感じます。事業仕分けに対しては、パブリックコメントが求められているので、このブログをお読みになった皆さん、一人でも多く、パブコメにご自分の意見を送っていただくことを期待いたします。

http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/sassin/1286925.htm

果たして会社の社長に大学の学長が務まるか?
~三重県薬事工業会での講演にて~

 前回のブログの最後に「民主党政権に替わりましたが、マニフェストに明確に記載されていない大学政策は不透明であり、はたして日本が科学技術で生き残る手はあるのでしょうか?」と書いたのですが、事業仕訳で科学技術予算や大学予算が大幅に削減されることになり、私の心配していたことが現実になろうとしていますね。

 さて、気がついてみれば、あっと言う間にブログ更新の間隔が2週間以上もあいてしまいました。鈴大での毎週の講義にプラスして、もう一つ大きな仕事が入るとそうなってしまうようです。実は、ブログだけではなく、書類やメールも大量にたまってしまいます。先々週は三重県薬事工業会の研修会での講演、先週は日本糖尿病妊娠学会の特別講演があり、いずれも正真正銘の泥縄で間に合わせ、それが済んで、積み上がった手紙類や書類、何百という電子メールを処理して、やっとブログの執筆にたどりついたというわけです。

 私の場合は、講義の準備にすごく時間がかかるんです。今週も、準備に数日かけた上に夜中の3時まで準備をしていました。毎年同じ講義をしておれば、もっと楽なんですけどね。もちろん、講義以外の講演に対しても、最大限良いものにしようとこだわるので、講演直前のぎりぎりまで努力してしまいます。

 先々週(11月11日)の三重県薬事工業会の講演では、三重県内の製薬会社や化粧品会社などの幹部のみなさん30人を前にして、三重大学そして鈴鹿医療科学大学における、私の“経営”の取り組みについてスライド約116枚を使ってご紹介しました。経営のプロの皆さんを前にして“経営”の話をするとは、大それたことなのですが、皆さん真剣に聞いていただけます。

 いろんな大学経営のお話をさせていただいたのですが、その中で“会社の社長は大学の学長になれるか?”という問いかけを皆さんに投げかけましたので、今回はこれをご紹介しましょう。

 大学という組織は、トップの人事権や予算権というものがほとんどない組織なんですね。国立大学では2004年に法人化され、副学長の任命や多少の学長裁量経費が持てるようになりましたが、実質上はたいした権限ではなく、各学部長さんは学部の選挙で選ばれ、それを自動的に追認し、予算も各学部に自動的に配分される慣習なんです。私学の学長も、人事権や予算権は通常は理事長が握っていて、学長にはないケースが多いですね。つまり、学長には、“人事権や予算権がなくても組織をまとめられるリーダーシップ”が求められるわけです。

 では、どうすれば人事権や予算権がなくてもリーダーシップをとれることができるのでしょうか?

 これは、たいへん難しいテーマで、みなさんそれぞれ答えが違うと思います。たとえば学術的権威で組織をまとめるということも一つの方法ですね。ノーベル賞級の学者が学長になることもしばしばありますね。しかし、残念ながら私には学術的権威で人を動かすことはできません。

 そんな私が目指したリーダーシップは「EQリーダーシップ」でした。本屋に行けば、教科書が売られていますよ。“EQ”とはemotional quotientの頭文字をとったもので、IQ(知能指数)に対比される言葉で“感情指数”と訳されています。EQリーダーシップを一言で言えば、“周りの人々に共感・共鳴を与えることができる能力”ということになります。

 では、どうすれば周囲に共感・共鳴を与えることができるのか?たくさん心がけるべきことが教科書に書かれており、詳細は教科書をごらんいただくと良いと思います。

 私が心がけてきたことは、あたりまえのことばかりです。まず、“私利私欲のない純粋な熱意”です。私利私欲のある人には他人はついてきませんからね。それから、“外敵に対して身を賭して戦う”こともリーダーとしての不可欠の条件ですね。私の場合は平成19年の地方大学予算半減試案に対して、緊急記者会見などの一連の行動を起こしたことがあげられると思います。それから、“約束は必ず守る”、“自分の過ちに気がついたらすぐに謝る”、“筋の通った正論を述べる”など、どれも言い古された言葉ばかりですね。

 ただし、人間というのは、論理だけで相手を説き伏せても、反論できない悔しさが残るだけで、心の底から相手を尊敬してついていく気にはなれないものです。そこが、リーダーシップの難しいところですね。やはり、“人間的な温かみ”が必要です。しかし、“間違ったことや甘えに対しては毅然とした態度”が必要です。

 そういうことで、会社の社長は大学の学長になれるかという問いかけに対する私の答えは、「人事権や予算権に頼らずに組織を統率できる社長であれば大学の学長も務まる。」というものでした。

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日本を圧倒する中国の力を感じた国際ミッション(その2)
~あっという間に出現する大規模な本渓市のバイオ・医薬パークに衝撃~

  瀋陽に来て2日目、いよいよ活動開始です。午前中はミッション団のうち10名が遼寧省人民政府を表敬訪問しました。副省長の趙国紅さんをはじめ、遼寧省の食品薬品監督管理局の幹部の方々に出迎えていただきました。副省長は三重県で言えば副知事にあたる役職ですね。食品薬品監督管理局は、三重県では、健康福祉部薬務食品室にあたります。

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  午後は、行政訪問グループ、大学訪問グループ、企業訪問グループの3つのグループに分かれて行動。私は、行政訪問グループの一員として、瀋陽市人民政府訪問および遼寧省食品薬品監督管理局との懇談に臨みました。

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  大学グループは瀋陽薬科大学を訪問し、三重大との大学間協定を締結することで合意し、企業グループは、大手製薬企業である東北製薬集団を訪問しました。このメーカーは現在ビタミンCを製造する世界で唯一の会社になっているとのことです。

 瀋陽市人民政府では副市長の王英さんたちの出迎えを受け、また、遼寧省食品薬品監督管理局の皆さんとは、医学食品行政について、忌憚のない意見交換がなされました。

 読者の皆さんはGMPという言葉をご存知ですかね。GMPとはGood Manufacturing Practiceの頭文字をとった略語で、薬事法で厚生労働大臣が定めた医薬品等の品質管理基準を指します。言いかえれば「患者さんが安心してその医薬品を使えるために、医薬品製造所が行うべきこと。」となります。

 中国でも、最近は先進国のレベルに合わせるためにGMPを厳しく管理するようになり、最近もこの地域の約300社の製薬企業のうちGMPを満たしていないということで、約100社を製造中止にさせたとのことでした。

 3日目の23日は、今回のミッションの本命である本渓バイオ・医薬パークの訪問です。開発区の庁舎では本渓市長の江瑞さんはじめ、開発区の幹部が迎えてくれました。まずは開発区全体の大きな模型にびっくりしました。

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  このバイオ・医薬パークは瀋陽市と本渓市の間にあり、瀋陽市から38km瀋陽桃仙国際空港から20km、本渓市から24kmのところにあって交通の便もよく、中国で4つめの医薬品産業に関わる国家プロジェクトとのことです。このプロジェクトは今年で2年目。1年余りの間に、敷地面積23.6平方㎞の農地を一気に医薬品等の企業に限った工業団地に変えようとしています。ここには、200以上の工場の誘致、複数の大学を移転させ、居住区もつくる計画で、すでに120社が入居し、うち20社は海外の企業とのことで、うち1社は日揮ファーマという日本企業です。

 各企業が研究機器を利用でき、また、大学の先生との共同研究をする研究開発センターも作られ、さまざまな支援や優遇措置が準備されています。日本語のパンフレットも、ちゃんと用意されていました。今回のミッションに参加した三重県の企業の方々も、かなり食指を動かされた感じを受けました。

 開発区の現場をバスで見学しましたが、新しい工場や大学の建設がどんどん進み、すでに稼働している工場もあります。一部に残る農民たちの家と新しい工場の極端な落差を感じる光景の中で、1年余りという短期間のうちに、広大な農地を大規模な工業団地、しかも医薬品工業に限って選択と集中をした新都市を造ってしまう中国のまねは、日本にはとうてい不可能だと感じました。

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S09110612.JPG  さて、見学のあとは本渓市の主催の昼食会。おいしい東北地方の料理をいただきましたが、前々回のその1のブログでご紹介したサプライズが、再度起こることになります。三重県薬事工業会会長の田山雅敏さんの誕生祝い。田山さんの誕生日の情報を本渓市にいったい誰が伝えたのか?その1を読まれたみなさんは想像できますよね。

  科学技術について、量だけではなく、質でも急速に先進諸国を猛追する中国。国立大学予算の削減と大学間格差拡大政策等によって、先進国の中で唯一科学技術論文数が頭打ちとなっている日本、特に医学論文数については減少しているという異常な現象のおこっている日本の将来は、いったいどうなるのでしょうか? 資源小国の日本が生き残るためには科学技術しかないと思われますが、このままでは、10年後に確実に中国に圧倒されていると感じました。

 民主党政権に替わりましたが、マニフェストに明確に記載されていない大学政策は不透明であり、はたして日本が科学技術で生き残る手はあるのでしょうか?

大学と地域社会の交わりの場としての大学祭
~鈴鹿医療科学大学の碧鈴(へきれい)祭にて~

  今、全国各地の大学祭のシーズンですが、私が4月から副学長を務めている鈴鹿医療科学大学(以下鈴大と略します)では、10月31日~11月1日に第19回の大学祭が開催されました。今年のテーマは「燦燦(さんさん)」。

  鈴大の大学祭は「碧鈴(へきれい)祭」と言います。

 S091102688.JPG 「碧」という字を調べてみると、“音読みは「ヘキ」、訓読みは「みどり」。青緑色の宝石を表す字で、転じて青みがかった緑色の意味”や、“[音]ヘキ(漢)、[訓]あお あおい みどり。深い青色、青緑色”などとなっています。

 

 

   ところで、三重大のシンボルは「三翠(さんすい)」でしたね。「翠」も“あお”や“みどり”という意味で、かわせみの青緑色の羽毛の色やヒスイの濃い緑色からきているということです。翠と碧は微妙に違いがあるようで、翠玉(すいぎょく)とはヒスイの意味で、碧玉(へきぎょく)とは、ジャスパーとも言われ、微細な石英の結晶が集まってできた鉱物で、酸化鉄や水酸化鉄などの不純物の違いによって、紅色・緑色・黄色・褐色など様々な色や模様のものがあるとされています。いずれにせよ、翠も碧も青みどり系統の色をさし、「翠碧」や「碧翠」という使い方もあるようなので、これは三重大と鈴大が連携していることにぴったりのシンボルカラーですね。

S091102621.JPG  さて、私は碧鈴祭の1日目を覗いてみたのですが、模擬店や野外ステージなど、大学祭に定番の催しはもちろんありますが、最初に心が和んだのが、オープニングを飾った“あおい保育園”の鼓笛隊のパフォーマンスでした。これは医療福祉学科のみなさんのご尽力によるもので、このような地域の園児が大学祭に参加していただけるのは、医療福祉学科の皆さんのふだんからの地域社会とのかかわりの賜だと思います。今インフルエンザ流行の真っ最中なので、参加をしていただけないかもしれないとの心配もあったようですが、参加が実現して何よりでした。 

 鍼灸学部の展示室にいくと、一般の来場者で大にぎわい。お子さんをあずかるコーナーも準備され、子供づれのお母さんたちもたくさんきておられました。漢方のお茶の体験や、お灸の体験をしていただけるコーナーもありますよ。説明を担当する学生さんたちは、学生とは思えないほどしっかりと熱意をもって説明し、学生たちのプロ意識に感心しました。 

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S091102662.JPG 医療栄養学科は“地産地消”がテーマで、学生のみなさんがいっしょうけんめい作ってくれた地域の産物を生かした“緑茶のパウンドケーキ”と“ひじきのクッキー”はおいしかったですよ。

 

 

 

 広場でジャグリングをやっている学生さんがいたので見に行くと、理学療法学科の学生さんで、広場から離れている展示室に来場者を案内するための“客寄せ(?)”の努力ということでした。案内の学生さんに連れられて理学療法学科の展示室にいくと、学生さんたちが一生けん命手伝ってくれて、いろいろなリハビリの体験をさせてくれました。車椅子の体験や、義足や義肢の体験をすると、障害をもたれた方々の大変さが実感できますよ。私もそのうちお世話にならないといけないんですからね。

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   2年前に鈴大に開設された薬学部の展示室では、これからは、薬剤師が単に調剤するだけではなく、医師といっしょに患者さんと直接接して、チーム医療に貢献できる力をつける必要があること、そして、そのために大学が6年制になって、病院での実習など患者さんに接する臨床能力を高めようとしていることを、学生さんたちが熱く語ってくれました。

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   紙面の関係ですべてをご紹介できませんが、臨床工学科では電子キットの作成に子供たちが一生懸命。医療情報学科、放射線学科もそれぞれ興味ある展示を行っていました。S091102625.JPG

   もちろん、ここにご紹介した展示だけではなく、野外劇場でのプロの歌手やタレントによる歌やお笑い、そして、延々と続く学生たちのライブ演奏会や模擬店を、それこそ碧天の秋晴れの「燦燦(さんさん)」とした日の光のもとで、丸一日楽しみました。

 大学祭は学生たちだけのものではなく、大学と地域社会の交わりの場として大きい役割を果たしていることを実感した碧鈴祭でした。11月7~8日に開催される三重大祭にも大いに期待したいと思います。

日本を圧倒する中国の力を感じた国際ミッション(その1)
~MVPのVIPへのサプライズを仕掛けたのはP&D~

 10月21日(水)~25日(日)、みえメディカルバレープロジェクト(Medical Valley Projectの頭文字をとってMVPと略します)の国際ミッション団の一員として、中国遼寧省瀋陽市を訪問したので、その報告をみなさんにしておきましょう。

 みえメディカルバレーは、2002年から始まった三重県における産学官連携によって、この地域の医療・福祉・健康産業の振興を目指し、最終的には県民の健康を増進すること目指しています。県内だけではなく、海外の産学官連携による産業クラスターを毎年訪問し、国際的な展開も進めようとしています。

 さて、今回の中国ミッション団の構成は、大学関係者が7名で、三重大学大学院医学系研究科教授の西村訓弘さん、今年の4月から開設して全国的に注目を集めている「地域イノベーション学研究科」の研究科長の鶴岡信治さん、同教授の矢野竹男さん、社会連携研究センターの産学連携コーディネータの加藤貴也さんと加藤宏明さん、そして、鈴鹿医療科学大学からは、鍼灸学部の助教の鈴木聡さんが参加しました。私はというと、三重大学学長顧問と鈴鹿医療科学大学の副学長という両大学の立場での参加ですね。

 行政関係者は、三重県の健康福祉部長で今回のミッションの団長の堀木稔生さんをはじめ5名、企業関係者は三重県薬事工業会 会長で、(株)中外医薬生産社長の田山雅敏さんをはじめ10名が参加しました。この前のブログでご紹介した(株)万協製薬社長の松浦さんも参加しましたよ。そして、今回の旅のお世話をしていただいたのがピーアンドディーパートナーズ(株)(P & D Partners Co., Ltd)社長の董培(ドンペイ)さんと許蕾(キョライ)さん。

 21日の午後は移動日で、中部空港から桃仙国際空港へ。そしてバスで瀋陽市内の“瀋陽酒店”というホテルへ。中国では“酒店”というと、酒屋さんではなくホテルなんですね。瀋陽市は人口685万人の大都会で、大きなビルが林立し、街にはベンツやBMWなどの高級車も走り回り、高級ブランド専門のビルも並んでいます。私たちの住んでいる津市があまりにも小さく思えて、何か自分たちが“おのぼりさん”であるような感じがしました。

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 夕食は“嘉倫酒楼”というレストランで、おいしい中国の東北料理を楽しみましたが、突然、レストランのウェイトレスたちがバースデイケーキを運んで入ってきました。明日が田山会長の誕生日ということでのもてなしだったのですが、これには田山さんもサプライズ。みんなで、“ハッピーバースデイ田山さん”を歌いました。

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 田山さんは、三重県薬事工業会の会長をつとめられ、また、伊賀上野の商工会議所の副会頭もおつとめになって、三重大学伊賀研究拠点の設立にも尽力され、また、三重大学の客員教授として学生の講義も担当していただき、さらに、私が副学長をつとめている鈴鹿医療科学大学の理事でもあり、みえメディカルバレー(MVP)の最重要人物(VIP)なんですね。昨年のMVPの中国ミッションでは団長もつとめられました。

 さて、MVPのVIPである田山さんの誕生日前日のバースデイケーキという心憎いばかりのサプライズを仕掛けたのは、もちろんP & Dです。この会社は2007年に三重大のキャンパスインキュベータに設立されたベンチャー企業で、中国にも支店を置き、事業内容としては、①中国向け製品の安全、環境、衛生等の許認可申請取得代行、②中国市場における商品拡販サポート、③中国へ事業進出サポート、④その他中国と関連したビジネスのサポートをしています。

 社長のドンさんは中国で新聞記者を経たのち来日され、三重大学の大学院を修了。三重県内の企業に就職され、2年前に独立してベンチャーを立ち上げられました。会社の名前のP & Dの由来は、Plan and Doの頭文字と同時に、ドン(Don) ペイ(Pei)さんの頭文字をさかさまにしたということらしい。中国の表も裏も精通しているドンさんによる許認可申請取得代行のサービスは、他の企業ではなかなかまねのできないことなので、県外の大手有名企業からの受注も多いとのことです。

 このドンさんのパワーは、今回の中国ミッションでも多いに発揮されることになり、ミッション団のメンバーの評判はすこぶる良かったと思います。MVPを構成する三重県の企業が中国に進出をする場合にも、大いに役立ってくれることでしょう。

 ということで、“MVPのVIPへのサプライズを仕掛けたのはP&D”という、多くの皆さんにはたぶんわけのわからなかったサブタイトルの説明を終わります。

"仕事と家庭が両立できる企業"松浦社長のすばらしい講演の聴衆はわずか
~三重県立総合文化センターシリーズその2~

   10月16日(金)9時から、三重県立総合文化センター(そうぶん)の所属長会議があり、理事長の私が、文化会館、生涯学習センター、男女共同参画センター(フレンテみえ)、施設利用サービスセンターの各センター長さんや総務部長さんから1カ月の活動報告を受けました。

   会議が終わって、10時半から生涯学習センターの2回の会議室で、三重県の多気町にある(株)万協製薬社長の松浦信男さんが講演をされるというので聴きにいきました。厚生労働省委託事業「働きやすい企業普及事業セミナー」の一環として、“「働きやすい企業」にするために仕事と家庭が両立できる企業をつくろう!”というタイトルのお話でした。

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   松浦さんは実は、三重大学の大学院生なのです。三重大学の医学系研究科と、この4月に新しく開講した“地域イノベーション学研究科”には、この地域の元気のいい若手の社長さんたちが10人以上大学院生となって、出入りしているんです。彼らは、大学院生として学び、研究すると同時に、若い学生たちにとっては先生でもあり、松浦さんはそうぶんでの講演が終わったら、午後には三重大の学生たちに講義をすることになっているということでした。

   松浦さんの万協製薬は、主にねり薬を専門に扱っている製薬会社です。阪神大震災で神戸にあった工場が崩壊したので、松浦さんと、専務である奥様の慶子さんたちは、数名で三重県の多気町に新しい工場を建設して移ってこられたとのことです。その後、事業は順調に発展し、今は90名の会社になっています。

   社員の半数以上は女性で、女性の管理職も多く、さまざまな工夫をされ、2008年度には「男女がいきいきと働いている企業」のベストプラクティス賞を三重県知事から受賞されました。また、同時に、三重県経営品質賞の知事賞も受賞されるという、超優良企業なんですね。

   この日のお話では、そんな松浦さんの取り組んでこられた経営の秘けつや哲学を教えていただきましたよ。たとえば、育児休業や育児時短制度、各種の提案制度、気づきのある会議、プチコミ制度、ジョブローテーションと助け合いの仕組み、権限の移譲の仕方などなど。これらは、私も大学の経営や、事業団の経営に携わる者として、大いに参考になりました。

   それにしても、この出席者の少なさにはびっくり。このせちがらいご時世では、ちょっとした企業向けのセミナーでもけっこうなお金を取られるのに、これは無料。皆さん、なんてもったいないことをしているんでしょうね。前回も書きましたが“そうぶん”にはほりだし物がけっこう隠れていますよ。

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   松浦さんたちとは、お昼ごはんをそうぶん内のリズ・カフェで。ここは東洋軒がやっているレストランなので、名物のおいしい“ブラックカレー”をみんなで食べつつ、経営品質改善の話を咲かせました。私が三重大でやってきた業務改善活動や、鈴大でやっている授業の品質改善の取り組みを大いに評価していただき、特に、私が学長退官記念講演で使ったPDCAを上から下までぐるぐる回すことを示したスライドが、経営品質改善の本質を表しているので、ぜひ、使わせて欲しいとおっしゃいました。私が何気なく書いてみた図は、どうもオリジナルらしい。もちろんOKの返事をしましたよ。

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 今までにも学内向けに、「学長メッセージ」を配信してきたのですが、「学長、硬いことばかり書いていても誰も読まないですよ。ブログのような気軽に読めるメッセージを出していただきたいですね。」とアドバイスをいただきました。そこで「学長ブログ」として、気軽なメッセージをホームページに掲載することにいたしました。 最近「学長ブログ」なるものが、はやりだしているとのことです。
これからの学長は「ブログ力」でためされるという時代になってきたとも言われています。私は何も学長ブログの競争に参入したいというわけでもなく、私のメッセージが果たして「ブログ」の定義に当てはまるかどうかも分かりませんが、皆さんのご要望にお応えするために、気軽に、また不定期に、感じたことを書いてみようと思います。