- 学長通信 -

三重大学長ブログです。

入学式

4月8日に三重大学の入学式が行われました。1,443人の新入生が新たに三重大生となり、9名の中国、韓国、マレーシアの留学生も含まれています。本年度は三重県出身者が全体の42%を占め、学部学生、大学院生を含めて約8,000人の学生と約2,000人の教職員、併せて約1万人がこのキャンパスに集合しています。
入学式の式辞で話した要約を以下に記します。 

入学式はなぜ4月に行われるのでしょうか?
明治以前の藩校や寺子屋ではいつでも入学可能でしたし、明治になって欧米の制度にならって9月入学となりました。それまで1月始まりであった会計年度が税収の関係で10月となり、さらに4月に変更されたようです。それに合わせて学校の入学も4月に変更されました。それほど強い正当性があったわけでもないのに、それが定着してしまったのでしょう。 現在行われている諸々の習慣や行事が当然であると受け入れる前に「なぜ」、「どうして」を考えることから始めることも必要です。そこから新しい取り組みが進みます。

濫觴(らんしょう)とはどんな大河もその始まりは杯を浮かべるほど小さいとの意味で、物事の始まりのことです。何事においてもはじまりが大切です。皆さんの大学生活が稔り多いものになるかどうかは最初にかかっていると言っても過言ではないでしょう。高校時代とは比べ物にならないぐらい自由です。それに伴って守らなければならない規律があります。そのことを十分に理解した上で積極的に行動してください。受け身では大学生活は充実しないことを認識しましょう。 

TwitterやFacebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)はイノベーションを起こしました。あっという間に世界中に普及し、チュニジアやエジプトの革命の起爆剤となりましたが、それに使われてはいけません。情報リテラシーを十分に理解し、ネット社会を有効に利用しなければなりません。現代の若者はネットでのつながりを大切にしているようですが、それだけでは困ります。対面でのコミュニケーションがなければ真の友人関係は築けないことを深く考えてください。

大学生として教養を身に着けなければなりません。そのためにはまず本を読みましょう。大学生の本を読む時間が年々減少し、全く本を読まない学生が40%を超えていると報告されました。私の勧める本はジャレド・ダイアモンド「文明崩壊」、デレック・ボック「幸福の研究」、竹内洋「学問の下流化」などです。しかし、本の種類にはあまりこだわることなく、まずは1冊読み終えましょう。皆さんがこれから良い社会人として道徳的に生きていくために必要なものになるでしょう。それが教養です。 

学生が溌剌として学問やクラブ活動に取り組んでいる姿が大学の象徴です。素晴らしい学生生活となることを祈っています。