学位記授与式
卒業式と称するか学位記授与式とするか?
三重大学では学部も大学院も学位記授与式を採用している。大学によっては学部の学生は卒業式、大学院は学位記授与式としている。学部学生も学士の称号が授与されるので、われわれは学位記授与式として、後にカッコつきで学士、大学院としているがどちらがよいかは意見の分かれるところである。しかし、あまりこだわるほどの問題ではない。
学長室の前の桜エドヒガンが満開となった3月25日にその学位記授与式が大学内の三翠ホールで行われた。ちなみに、この桜は早咲きであるので毎年この時期に花を開くが、多くの人の心に浮かぶ桜といえば入学式の祝花であろう。温暖化の影響か?桜の開花が早まり10~20年後には卒業生へのはなむけとなるかもしれない。多くの大学が学外の貸しホールでの式典であるが、キャンパス内の素晴らしいホールで行うことができるのは、この上ない幸せである。
三重大学で学士1365名、修士420名、博士37名が誕生した。外国よりの留学生は学士8名、修士35名、博士3名で、ベトナム、中国、マレーシア、インドネシア、韓国、バングラディッシュの国からの学生たちで、その健闘には目を見張るものがある。学業優秀者の学生を学長表彰としてその功績をたたえた。
学生たちへの言葉として例年と大きく変わることがないが、本年はブラジル訪問で感じたことを伝えた。三重大学南米同窓会の会員は20名、この数は国立大では1位、私立大学も含めても3位とのこと。昭和30年代から40年前半までの卒業生が大きな希望と夢をいだいて2か月以上の船旅で南米を目指し、待ち構える数々の苦労をものともせずに現在の成功を勝ち取った自信にあふれた表情だったこと。その皆さんが同窓会を開催し、2世、3世の家族を含めて総勢60人が集まってわれわれ一行を歓迎してくれたこと。彼らの三重大学の学生諸君へ熱いメッセージは「夢を持て」「人にばかり頼らずに自分で道を切り開け」「自信をもって事に当たれ」など、今の日本に欠落しかかっている「志」と「心意気」を強くして人生を歩めとのこと。
世界のどこにでも三重大学の卒業生が活躍し、その人たちすべてが三重大学のことを気にかけてくれていることを卒業生たちが常に認識してほしいことを伝えた。
学位記授与式の式辞の内容に学生たちがどれだけ感じてくれたかは不明だが、少なくとも私には彼らの輝いている顔と眼が印象的に映った。