- 学長通信 -

三重大学長ブログです。

「2」について考える

2月は通常は28日、閏年では29日となります。他の月の日数が30または31日なのに対して、2月だけ28または29日なのは不思議ですね。論理的に決められたのではなく、日数の帳尻合わせのためにローマ時代の最後の月である2月を28日としたようです。

2月11日は建国記念の日ですが、あまり注目されているようには思いません。「建国をしのび、国を愛する心を養う」国民の祝日です。日本書紀に基づいた神武天皇即位の日・紀元前660年1月1日を新暦に換算して、2月11日を紀元節としたとのことです。国家や国民にとって建国記念日は最も大切な日と思うのですが、その日の決定には国会でも難渋したようです。妥協の産物として「建国記念の日」として成立しましたが、これでは愛国心を涵養することにはつながらないでしょう。翻って三重大学ではどうか。5月31日が三重大学の創立記念日ですが、特別の催しもなく、休講でもないため認識している教職員、学生は建国記念日以上に少ないのが現状です。今年は大学を愛する心を養う小規模な行事を開催するつもりです。

キリスト教徒でない多くの日本人が2月14日のバレンタインデーを楽しんでいるようです。お菓子屋の策略に乗せられてチョコレートを贈るようになったのでしょうが、この行事により多くの恋が芽生え、成就するならば嬉しいことです。それが結婚に結びつき子供が生まれ、わが国の少子化が解消されることを夢見ているのは私だけではないでしょう。

2月は私の誕生月です。昭和22年2月20日生まれです。20日の午前3時ごろの出産だったこと、2週間後に近所の人に役場に行ってもらって出生届を出してもらったこと、その人が19日と思い違いをしていたことで戸籍上は2月19日となったようです。両親は仕事で忙しく、貧しい時代の田舎のこと誕生祝などはしてくれませんでしたが、母親が作ってくれたバラずしを兄弟でおいしい美味しいと食べたことを思い出します。

軍医であった父親が戦地のブーゲンビル島(ソロモン諸島)から帰還したのが昭和21年6月中旬、私が生まれたのが翌年の2月ですので早産でした。出生時の体重は2250gで未熟児、母親の乳を吸う力がなく、近所のおじさんおばさんが交代で米のとぎ汁を飲ませて2週間ほど必死に育ててくれたとのことです。両親はもとより近所の人たちのおかげで何とか命をつなぐことができました。その地域で戦後最初に生まれた子供でしたので、敗戦で心がすさむ中、地域の人にとって自らを励ますつもりで育つことを願ったのでしょうか。大学を卒業するころまで田舎に帰省すると必ず「お前はこの地域の子供だ」と言われ続けてきました。そう言われながら故郷に貢献できていないことに忸怩たる思いです。

誕生日に誰でもが歌い、歌えるのがハッピーバースデートゥーユー (Happy Birthday to You)です。老人会で英語を知らない90歳台のおじいさんおばあさんが、幼稚園児たちが嬉々として歌うのがこの歌です。誰に教えられたわけでもないのにみんなが歌えるのはなぜでしょう。同じ歌詞の繰り返しであること、メロディが単純であることなどが極めて歌いやすくしているのでしょうか。世界で一番歌われている歌としてギネス・ワールド・レコーズに載っているようです。

アメリカ人のヒル姉妹が作詞・作曲した「Good Morning to All」のメロディを原曲としているとのことです。Good Morning to All の歌詞は
Good morning to you, Good morning to you, Good morning, dear children, Good morning to all.
そしてGood Morning to All の替え歌が、ハッピーバースデーの歌となり
Happy birthday to you, Happy birthday to you, Happy birthday, dear ―, Happy birthday to you.
この歌に日本語の歌詞があるのを知っている人は少ないでしょう。
うれしいなきょうは たのしいなきょうは たんじょうび おめでとう おうたをうたいましょう
やはり英語のままのほうがピンときますね。

私は「2」という数字が大好きです。「2」は男性と女性、光と影など、相反するものや、ふたつでひとつのまとまりを表します。「相手がいるから自分のことがわかる」「相手に対する愛情」ということから、知恵や母性(=愛情)といった意味も持つとも言われています。近代野球では2塁手や2番打者がチームの要で司令塔でもあります。知恵をもって相手を知るからでしょうか。

1位を目指して努力するが紙一重の差で2位となり誰からも注目されずに悔し涙を流すから人は成長します。そこから相手に対する思いやりや新たな挑戦への意欲が生まれるでしょう。「2」を大切にしましょう。