- 学長通信 -

三重大学長ブログです。

世界一の環境先進大学を目指して

 環境報告書2009の巻頭に学長メッセージを書く機会がありました。その文章を皆様方にお読みいただき、三重大学がいかに環境に力を入れているかをわかってほしいと考え、報告書と全く同じではありませんが、その主旨を禿鬢通信とします。

 バランス社会構築に向けて大学のリーダーシップが求められています。
 地球の歴史がはじまって以来、自然災害により環境は破壊され続けてきたが、それは必ず地球自らの力で回復してきました。しかし、20世紀の大量生産、大量消費、大量廃棄による自然破壊は地球がこれまで経験したことがないものでした。また、破壊の程度の激甚さも想像を絶するものでしょう。人間の身体にたとえれば、心臓、肝臓、腎臓が機能不全状態に陥りつつある状態と考えられるでしょう。機能不全にならないと症状を現しませんので、そのことに気づかないまま放置されます。当然のことながら治療も始まりません。現在の地球はこのような状態です。
 この状況を作り出している社会体制から早急に決別をしなければ、私たちの子孫に受け継いでもらえる持続可能な社会は作れません。そうとわかっていながら、21世紀も激しい資源争奪戦で幕を開けました。残念なことです。回復不能な危険水域が目前に迫っている、いや領域によっては既にその域値を越えていることをわれわれは深刻に受け止めなければなりません。
 自然環境が美しく調和循環する持続可能な社会を構築するためには、この世紀をバランスに満ちあふれた時代としなければなりません。技術や資源と環境との「バランス」、社会と経済の「バランス」、政府の統制と市場の自由の「バランス」、物質生活と精神生活の「バランス」です。このバランス社会への変革に私たち大学の果たす役割は非常に大きなものと認識しています。大学の使命である教育、研究から生まれる環境負荷を自らの努力で軽減することはもちろん、人々の生活や産業での負荷軽減にも貢献しなければなりません。そのため、積極的にリーダーシップを発揮していくことが三重大学の使命と考えています。

 学内外で3R活動を展開し、低炭素社会構築にリーダーシップを発揮します。
 地球温暖化防止のための科学技術や社会システムの教育研究を推進するとともに、学内外の3R(Reduce, Reuse, Recycle)活動や炭酸ガス削減活動に積極的に取り組みます。21世紀の環境に優しい新しいコンセプトのバランスを三重大学で作り上げるために、強いリーダーシップを発揮します。大学でそのことを実現することは地域社会全体に還元できるものと確信しています。そして、三重大学がある町、津市で低炭素社会を構築し、その輪を三重県全体に拡大し、その形成過程を日本、世界へと発信します。

 環境人財を養成します
 環境への過度の負荷が複雑系の地球の再生能力を失わせ、持続可能な社会が破壊されることを十分に理解し、その防止に努め、資源循環型社会に向けた資源の有効利用を考える「環境人財」を養成します。環境に関する教育体制の充実、リサーチセンターの設立には大学を挙げて支援体制を作り上げます。そして、三重大学で育った環境マインドを持った人財が教育、研究の現場で環境についての先駆的教育プログラムや技術の開発に専心できるように、彼らの周辺環境の整備に努めます。

 知の拠点として市民と共に成長し続ける大学となります。
 われわれがこの地球で生きるということは、自然と人類が共生することです。三重大学を巣立った環境人財の一部の人は環境コーディネーターとして地域で活躍します。環境に関する知識や技術を地域社会の人々に伝え、共有することにより環境コミュ二ティーを形成します。また、ある人は企業の中で活躍します。そして、産官学民が一体となった三重大学環境塾である知の拠点を作ります。その活動の中心は三重大学です。市民に開かれた三重大学キャンパスパークで市民が主役のシンポジウムを開きます。

 三重大学の経営の中で、環境は最優先事項です。
 これまで三重大学は環境先進大学として、環境負荷低減に積極的に取り組んできました。エコバック、再生紙トイレットパーパー、放置自転車の再生利用など学内3R運動を最優先課題として徹底してきました。白砂青松の海辺に建ち、空の翠、波の翠、木々の翠に囲まれ豊かな自然の中にある三重大学の経営の根幹に環境があることを高らかに宣言し、学内はもとより地域をリードします。