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「とこわかダンス」元気に、自分なりの精一杯で踊りましょう!

2020.3.24

インタビュアー:広報室

今回は教育学部保健体育講座の後藤洋子(ごとう ようこ)教授にインタビュー取材を行いました。

後藤先生の写真

-先生が現在取り組まれている健康体操の実践について教えてください。

後藤体操はとても幅が広く「体操競技」として技を競うものと、競技をしない健康体操があります。健康体操では「体操祭」として発表会を開催し、一般の方へ健康体操に参加することを勧めています。既に健康体操を行っている人達にとっては発表会を行うことでモチベーションアップや交流・会話の場を作ることになります。体操祭や発表会は全国の様々な地域で開催されています。三重県でも「三重スポーツフェスティバル」として健康体操大会が毎年開かれています。津市の大会もあります。

写真:冊子

-健康体操を行うことでどのような効果があるのでしょうか。

後藤スポーツの運動はその種目に特有の運動が中心となり、動きに偏りがあります。健康体操は身体各部位をまんべんなく動かすように運動を組み合わせて行うので偏りがなく全身を使います。そのため全身的にコンディションを調整をすることができます。また、怪我をしていたり、痛いところがある場合は運動をすることを全く止めてしまうのではなく、無理をしない範囲で軽く体を動かすことで調子が良くなることも有ります。自分の調子に合わせて自由に運動を調節できるのも体操の特徴です。
 体操の教室や集まりに出てくることで仲間との交流・情報交換ができるのでコミュニティの場になります。また参加することで「自分はひとりではない。今日も仲間に会える。」などメンタル面の支えに繋がることもあります。教室などの集まりはただ単に体操を行うだけの場所ではなく、仲間つくりの場としても機能しています。健康に対する考え方は人それぞれで、どのような状態を望んでいるかは人によって様々ですが仲間と交流することで自分の健康観を確認する場にもなっているようです。

-ダンスや体操が得意ではない人が、楽しくダンスをできる方法を教えてください。

後藤苦手なら無理におこなわず、自分に合った得意なスポーツをすれば良いと思います。しかし得意なスポーツがない方にはダンスや体操はとてもオススメです。これらは他のスポーツのように勝ち負けが決まったり、場所や人数を限定されることもなく、決まったルールに従う必要も有りません。自分の体と向き合って意識を体の内側に向けるようにすると良いと思います。身近に体操教室もたくさん開かれているので気軽にはじめやすく、ステップが少し難しいと感じれば自分に合わせてアレンジすることもできます。また他のスポーツを行う際もそのスポーツだけでは動きに偏りが出るため足りない動きを体操やストレッチを足して補うことで体をバランス良く使うことが出来ます。体操やダンスは人生を豊かにするための方法のひとつと考えてもらえればよいと思います。

写真:ダンスDVD

-そもそもダンスはどのように作られるのでしょうか。

後藤まずはテーマやジャンルを決めて、それに合った音楽を探します。プロだと有名な音楽家とコラボをすることもありますが、私は多くの場合、既製の音楽を使います。音楽を決めた後は振り付けを行っていきます。
 ダンスや体操にはルールや規則が基本的にはないので、その部分を作ることから始まります。やりたいことを自分たちで考え、判断・選択をし創りあげていきます。自由にできる反面、難しいところでもありますが、生徒たちも授業ではやりたいことを見つけ、みんなで考え、楽しく喜んで練習しています。


-三重とこわか国体の「とこわかダンス」の振り付けについて、どのような経緯で先生がお考えになられたのでしょうか。

後藤近年では国民体育大会が開催することになると歌やダンスを作って気持ちを盛り上げていく企画をたてるそうです。三重県で2021年に国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が開催されるので、それに向けてダンスを作って頂けませんかと、2017年に三重県地域連携部から依頼がありました。一般的には半年から1年ほど試行錯誤をしながら作っていきますが1ヵ月で作成する必要があったため、対象を小学生低学年以下向けのイージーバージョンとそれ以上の方向けのスタンダードバージョンを制作しました。その後、三重アクターズスタジオのインストラクターさんを中心にデモンストレーション用の動画とレッスン用(左右反転・正面からでは死角となる横や後ろ側から)の動画を踊って頂き、三重県のホームページに掲載すると供にDVDを作成しました。DVDは県下の学校に配付されています。
 また座って踊れるダンスが欲しいと要望があったため、2019年に座位バージョンを制作しました。三重県では歌の手話バージョンも一緒に制作し、座位のダンスと歌の手話で新バージョンとして発表しました。

-振り付けについてどのようなコンセプトで考えられたのでしょうか。ポイントなどがありましたら教えていただきたいです。

後藤国民体育大会・全国障害者スポーツ大会のためのダンスなので「元気に明るく精一杯踊る」をコンセプトに制作しました。曲がとても良く歌詞に「とこわかはばたけ」や、「みんなのエールが届く」等が入っているので、その歌詞に沿った動きを入れました。イージーバージョンでは小さい子を対象とするため複雑なステップや動作は入れずに発育発達的観点から全身で跳ねたり弾んだり大きく動く動作を中心にしました。踊り終わった後に精一杯踊った達成感を感じられるように願っています。スタンダードバージョンではすぐに踊れてしまうとつまらないので、少し練習が必要な踊りにするため、少し複雑なステップや仲間と協力をする動きを盛り込みました。振り付けは一人で行いました。

後藤先生の写真

-「とこわかダンス」はどのような方に踊ってほしいですか。

後藤日ごろからダンスに親しんでもらっている人をはじめ、全ての人に踊ってもらいたいです。
 国民体育大会・全国障害者スポーツ大会などに直接関わりのない人にも一緒に盛り上げてもらえるように歌やダンスがあります。簡単なダンスなので健康づくりとして取り組んで頂けると嬉しいです。運動会の演技種目として取り入れている学校もあります。三重県各地で研修会も開催されていて、スケジュールがあえばマスコットキャラクターのとこまるくんも参加して一緒に踊ってくれます。とこわかダンスを習得して、大会終了後も準備運動等として活用して貰えると嬉しいです。

-今後の目標や取り組みたいことなどを教えてください。

後藤私自身が体操やダンスのように音楽に合わせて体を動かすことがとても好きな分野なので、自分のためにも色々な作品作りや活動を展開をしていきたいと思います。体つくりとしての体操を小学生から高校生の間に授業として実践していくことになっているのですが、なかなかうまく位置付けられていません。現場の先生方からは体つくり運動の授業を展開していくための情報量が少ないという声を聞きますので、インターネットなどを活用して情報が手軽に手に入るような方法を模索していきたいと思っています。また、みんなが手軽にダンスや体操・体つくりができるように、身近な日用品を使った体操をつくりたいと思います。これまで洗濯ネット、風船、アルミ保温サバイバルシート、スカーフ、運動靴など、様々な用具を使った体操を考えてきました。これからもホームセンター等で運動を誘発しそうな材料をみつけ体操に活用していきたいと思います。

研究者情報


後藤先生の写真

教育学部・保健体育講座

教授 後藤洋子(Goto,Yoko)

専門分野:運動方法学 体操/ダンス

現在の研究課題:子どもの体力・運動能力の発達に関する研究
        体操/ダンスの運動教材および指導法に関する研究

【参考】
教育学部HP https://www.edu.mie-u.ac.jp/