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マレーシアでの魚類調査のお話をお聞きしました

2023.10.23

10月20日(金)、生物資源学研究科生理生態実験棟2階の標本準備室で、木村清志名誉教授にマレーシアでの魚類調査のお話をお聞きしました。

マレーシアから持ち帰った魚木村先生

木村名誉教授は、9月19日(火)から9月26日(火)、京都大学総合博物館松沼瑞樹研究員ほか鹿児島大学総合研究博物館や国立科学博物館の研究者とともに、マレーシアトレンガヌ大学との共同研究として、マレーシア南シナ海側で魚類調査を行いました。この魚類調査は、遺伝資源から生じる利益の公正で衡平な配分(ABS)に基づいてマレーシア政府機関から正式に許可を得て行われました。魚類調査は、早朝からほぼ1日かけて行われました。採集された魚は、現地の関係者とともに、国際イスラム大学のお借りした実験室で、目・科・属・種などの同定作業や今後の研究に使用するため、魚の背びれ近くの筋肉からDNA解析用の組織を採取しました。その後、ひれを立ててきれいにしてから画像に残し、ホルマリン漬けにしました。150個体ほどの魚類は、現場で標本にして、標本写真とともに、トレンガヌ大学からの寄贈という形で持ち帰りました。私たちが標本準備室を訪問した10月20日(金)も、木村名誉教授は、京都大学総合博物館松沼瑞樹研究員とともに忙しく観察作業などを行われていました。これらの標本は、この後、国立科学博物館、鹿児島大学および本学に研究のため保管されます。

小売市場での採集標本写真撮影
小売市場での採集                  標本写真撮影

世界におよそ何種類の魚が生息しているのかという単純な疑問にさえも答えられませんが、その魚を調べて同定できない場合などの研究のために、これらの標本は、標本を保管する研究機関、博物館および大学間で貸し借りも行われているとのことです。近年の急激な環境破壊などから生物多様性を保全するためにも、多様性を把握することは大切です。その現状を標本や画像として記録することは、たいへん骨が折れる仕事であると木村名誉教授は話されましたが、人類共有の財産として後世に伝える意義がとても熱く伝わってきました。
隣の標本室には、およそ62,000点の標本が保管され、ロンドン自然史博物館からお借りしているヒイラギ科の魚のタイプ標本や木村名誉教授が2017年に発見された新種の魚(Cymatognathus aureolateralis)の標本があります。

標本の説明をする木村先生倉庫に保管されている標本

木村名誉教授は、新種を発見すると大きく取り上げられがちですが、魚類の系統分類学を明らかにすることが重要で、その目標に向かって、今も精力的に研究を行われていました。
その一方で、木村名誉教授は、CBCラジオの番組内のコーナーで、私たちの生活になじみの深い魚たちの楽しいお話を解説されています。番組内での木村名誉教授の活躍も!みなさんもどうぞご視聴ください。

右から木村名誉教授、松沼研究員

右から木村名誉教授、松沼研究員

番組の詳細はこちらからご確認ください。
https://www.mie-u.ac.jp/news/topics/2023/10/post-2916.html