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神事・伝統・産業にとても大切 な植物:大麻
~マイナスイメージからの出発~

2023.10.24

地域イノベーション学研究科 研究科長・教授 諏訪部 圭太

諏訪部教授の写真

良い大麻?悪い大麻?

大麻と聞くと良いイメージはないと思います。しかし、それは大きな誤解です。実は、大麻という植物には種類があって、マリファナに悪用される品種・系統(タイプ)と有効活用されるタイプがあります。有効活用されるタイプ(産業用大麻)は、アサあるいはヘンプとも呼ばれます。アサ・ヘンプと聞けば悪いイメージはありませんよね?私たち三重大学大麻研究グループは、この有効活用される産業用大麻を研究する組織です。悪用されるタイプの大麻は研究しません。つまり、「良いものは良い、悪いものは悪い」をはっきりと分けて、良いものをより良くするために研究しています。

大麻と人間(日本人)の結びつきはとても長く深いけれど・・・

大麻と日本人のつながりは深く、縄文土器の模様に始まり、神社のしめ縄や横綱土俵入りのまわし、七味唐辛子、花火の火薬等、神事・伝統に使われています。近年では、有効成分CBD(カンナビジオール)が様々な場面で活用されるとともに、脳の病気であるてんかんの特効薬としてとても期待されています。また、バイオプラスチックや自動車の内外装、バイオ燃料等の材料にもなり、これからの産業においてもとても重要な植物です。しかし、戦後に制定された大麻取締法によって良い大麻も悪い大麻もすべて規制され、現在では全国で27名しか栽培者がいません。これでは神事も伝統も未来産業も支えることができません。

戦後初かつ国内唯一の大麻総合研究機関

私たちは、日本の神事・伝統・未来産業を支えるべく、研究に必須の2種類の免許(大麻取扱者免許・麻薬研究者免許)を取得するとともに、産業用大麻の基礎・応用研究に取り組む総合研究拠点を三重大学に設立しました。戦後70年超の研究空白がある大麻という植物を農業・産業・学術の面から研究する国内唯一の組織です。良い大麻と悪い大麻をしっかりと区別しながら学術的に日本大麻を紐解き、日本人の持つ大麻に対する誤解を解くとともに、日本の歴史・伝統・これからの社会において産業用大麻が正しく活用されることを目指します。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.47』(2023年7月発行)から抜粋したものです】