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ブランドのふしぎ

2023.10.24

人文学部・教授 熊谷 健

熊谷教授の写真

ブランドの役割って何だろう?

私たちの生活は売り手と買い手の交換で成り立っています。みなさんの今晩の食事も、この交換抜きには準備できませんよね。ここでブランドが存在しないと、買い手は商品の価値に見合った支払いをするために、事前に商品価値を正確に理解する必要が生じます。しかし、売り手と同様に商品価値を理解することは現実的ではありません。そこで、商品価値を知る手掛かりとして、重要な役割を担っているのがブランドなのです。

ブランドのふしぎ

グラフ:需要と価格

ブランドは品質や価格の手掛かりとなるだけでなく、自己表現に繋がるものでもあります。「価格低下→需要増」と経済学では学びますが、ステイタス・シンボルとなるような高級ブランドでは「価格上昇→需要増」という効果(ヴェブレン効果)が生じることがあります。また、「みんなが持っている→欲しい/欲しくない)」という効果(バンドワゴン効果/スノッブ効果)が生じることもあります。ブランドってふしぎですよね?

ラグジュアリー・ブランディングと日本のモノづくり

ふしぎな買い手の心理に目を付け、巧みにマーケティングを行う好例が、欧州発のラグジュアリーブランドです。フェラーリやロレックスは価格を上げ供給を減らすことで、買い手の憧れを高めていますよね。高機能で定評がある日本のモノづくり企業がラグジュアリーブランドのマーケティング手法を取り入れると「品質面も自己表現面も最強ブランドになるかもしれない」などと思案しつつ、ブランド研究に取り組んでいます。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.47』(2023年7月発行)から抜粋したものです】

熊谷教授へのインタビュー取材(wellulu:三重大学外部のページです)
「デジタル化の中でもリアル店舗は必要?幸福度を高める買い物の秘密を知る」