人文学部・准教授 洪 性旭

ソーシャルビジネスとは?
私たちの生活に必要な様々なモノやサービスの多くは、政府や民間市場から供給されています。一方で、政府や市場からは十分に提供されない社会的ニーズまたは様々な社会課題については、以前から存在した社会活動団体や財団などの民間非営利組織が取り組んでおり、これらの組織を「サードセクター」と呼びます。ソーシャルビジネス(社会的企業)はこのサードセクターの新しい事業体で、収益事業を行いながら、主な目的は社会的ニーズの充足や社会課題の解決をする民間事業組織のことを指します。

ソーシャルビジネスには様々な形がある
どんなビジネスでも「ソーシャル」なビジネスと名乗れそうな気もしますが、「利益の一定割合以上を社会貢献に使う」または「社会的に不利な立場に置かれた人々を一定割合以上雇用する」といった客観的な基準を設けることもできます。ヨーロッパにはこのような共通の定義を作る動きがあり、ソーシャルビジネスの法律を制定して認証制度を運用している国々もあります。日本はまだソーシャルビジネスを制度化していませんが、その分、自由度は高いと言えるでしょう。

社会的インパクト評価
近年は、ソーシャルビジネスはもちろん、NPO(非営利組織)や営利企業のCSR(企業の社会的責任)活動など、様々な社会貢献事業が生み出す変化=社会的インパクトを可視化する方法を研究しています。たとえば、マーケティング理論を参考に、事業に関わった人々の意識や行動の変化を量的・質的に分析することができます。社会的価値を第三者にも伝わる形で表現できるようになり、より多くの人々の参加に繋がることを期待しています。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.49』(2024年10月発行)から抜粋したものです】