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海女集落の景観構造と景観特性を解き明かす調査研究

2026.3.17

工学研究科・准教授 大井 隆弘

大井准教授の写真

海女集落の景観調査って?

三重県鳥羽市は、全国で最も多く海女が活躍する地域です。私たちは、2018年度から「鳥羽市景観計画」の策定と並行し、「海女集落らしい景観とはどのようなものか?」を課題として、景観に関する調査を進めてきました。対象とした集落は、特に海女が多く活躍する石鏡、国崎、相差、答志、和具、菅島、神島の7集落です。調査では、地形・地質、3000棟を超える民家の形態・形状、建設時期の古い民家、海女小屋、社寺などの実測調査、公共施設やサイン等の分布や内容の確認などを実施してきました。

海女集落

ダイナミックな外海の景観をもつ海女集落

鳥羽の漁村集落の多くは穏やかな湾内にあり、牡蠣などの養殖も盛んに行われています。一方で、私たちが調査した7つの海女集落は、いずれも外海に面しています。海女さんが多いということは、鮑などの根付資源が豊富であること、それを育む多くの岩礁があることを意味します。波が砕けるような荒々しい岩礁を海岸線にもち、外海に向かうダイナミックな景観には緊張感も。これが海女集落の景観のベースになっていると分かりました。ただし、各集落は異なる地形を持ち、道や建物の配置は様々で、バリエーション豊かな集落景観が展開します。

海女小屋数の図

独自の発展を遂げた海女小屋という景観資源

海女集落にとって海女小屋は重要な景観資源です。海女小屋は、海女が漁の準備をしたり、焚き火をして漁で冷えた身体を温めたりする場所で、7集落で計41棟の海女小屋が見つかっています。詳しく調査してみると、大型の海女小屋がある石鏡、シャワー室を付ける国崎、神棚やしめ縄がある相差、床面をパレットでつくる答志など、集落毎に作り方が異なることが分かりました。100年前、浜などで火を囲むだけだったのが、それぞれ独自の発展を遂げているのです。このように、海女集落の景観の魅力を明らかにする研究を続けています。

海女小屋に関する調査資料

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.50』(2025年10月発行)から抜粋したものです】