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地理や空間に関する情報の分析と利用

2024.5. 1

工学研究科・准教授 松岡 真如

松岡先生ら

衛星からスギとヒノキを見分ける

スギとヒノキの森林は日本の人工林の約7割を占めています。広い森林を効率的に管理するには人工衛星が有効です。この研究では、衛星画像を使った機械学習により、スギとヒノキを高精度に判別することを目指しています。現在は、紀伊半島を対象とし、サポートベクターマシンというアルゴリズムを使って解析しています。特に、解析に使う光の波長や、データが撮影された季節が結果にどのような影響を与えるかという点に着目しています。

衛星画像で判定したスギ・ヒノキ

ドローンと衛星を合わせて稲の成長をモニタリング

人工衛星から得られる情報はまだまだ精度が低く、現場での調査結果と組み合わせることが重要です。この研究では、農家の方の協力を得ながら、ドローンを使って水田を定期的に観測し、稲の成長をモニタリングしています。ドローンによる詳細な情報と、衛星による広域の情報を組み合わせて、高精度と広範囲を両立したモニタリング手法の確立を目指しています。将来は、気象条件による成長の違いなども解析できればと思っています。

ドローンと人工衛星の比較
SLAMによる屋外での作業の記録


SLAMによる屋外での作業の記録

SLAMはカメラやレーザーを使って、自分の位置と周囲の物体の三次元情報を取得する技術です。自動車やロボットなどの自動運転にも使われています。この研究は安価なカメラのみを使って、屋外でSLAMを行った際に、どれくらいの位置精度が得られるのかを研究しています。これにより、例えば農業や林業において、どこでどのような作業を行ったかを自動で記録することが可能になります。また動画から作業のコツのような情報も得ることができます。

気象衛星ひまわりでボルネオ島の森林火災を検出

気象衛星ひまわりは天気予報のみでなく、地球環境の観測にも使われています。この研究では、ひまわりで観測される10分間隔のデータを用いて、東南アジアのボルネオ島で森林火災の検出をしています。高温の森林火災から放射される遠赤外線を観測することで、火災の位置や規模、継続時間などが取得できます。ただ、昼と夜の温度差や、観測を遮る雲の影響によって検出の精度が左右されます。この点を改善できるように解析を重ねています。

気象衛星ひまわりで火災を検出する図

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.48』(2023年12月発行)から抜粋したものです】