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ヒトとコンピュータをつなぐ

2022.12.26

ヒトとコンピュータをつなぐ

工学研究科・教授 林田 祐樹

林田教授の写真

ヒト生体情報の計測-学習-制御技術

ヒトの様々な臓器は、多数の細胞が一体の組織となり、生物特有の原理に基づいて活動しています。そうした活動の情報を測定し、その特性をコンピュータで学習・解釈し、さらに必要に応じて人工的刺激を与え正常な活動へと制御する、そんな技術が、次世代のライフサポートに求められます。私たちは、細胞から臓器に至るレベルで、そうした生体と情報の融合技術に関する研究を行っています。以下に述べる神経模倣工学やバイオニック医療をはじめ、再生医療における成熟化技術にも応用が期待されています。

図:次世代のライフサポート

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生物をまねた感覚情報の処理装置

私たち生物は、見る・聞く・触れて感じるなどの感覚を生み出す神経システムを持っています。それらは、パソコンに比べて少ないエネルギーで働くにも関わらず、驚くほどに高度な情報処理を行います。その非常に効率の良い、巧みな感覚の機能と仕組みは、現代科学の注目の的です。私たちは、これまでの科学で分かってきた知識を利用し、眼-網膜神経の仕組みを真似た視覚装置を作り、改良を重ねながら、新たな情報処理の仕組みを見出そうとしています。

写真:生物の眼-網膜を真似た視覚装置

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脳へ感覚情報を伝える未来医療技術

脳を含む体内の様々な臓器は、極めて精密な造りと知的な働きを持っています。だからこそ、それらを失う事は重大な障害を引き起こします。でも未来の医療は、それを解決できるかもしれません。例えば、眼から脳へ伝達される視覚情報を人工的に再現し、それを外から脳へ直接伝えれば、失明された方々に世界の景色をわずかでも感じてもらえる、そんな可能性があります。私たちは、そのための装置開発や生物実験を通じて、未来のバイオニック医療の基礎技術を創ろうとしています。

写真:バイオニック医療~脳型人工視覚~

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【この記事は『三重大X(えっくす)vol.45』(2021年12月発行)から抜粋したものです】