看護技術教育(Nursing Art and Science)を考える
~Evidenceに基づく思考とEmotional Intelligenceを育む~
医学部看護学科・准教授 井村 香積

看護学生のEmotional Intelligence
学生が既習技術を活用して、患者さんに最善のケアを提供するためには、患者さんや医療スタッフとの人間関係が基盤となります。人間関係技能のひとつにEmotional Intelligence(EI)があり、看護学生のEIを育てるための研究をしています。看護師との比較では、看護学生は他者に対する感情は多くもっているものの、看護実践に感情を活用することはできていませんでした。私は「看護学生の人間関係形成尺度」を開発し、EIの発達に貢献できるコミュニケーション教育を推進しています。

附属病院のスキルスラボとのコラボレーション
病院での実習が始まる前に、実践に近い技術経験ができる機会を設けています。複数の患者事例を作成し、それを高機能のシミュレーション人形に設定し、リアリティある学習場面を作っています。学生は人形が呈する症状を観察し、看護問題を考え、どのような技術が必要かを考えて援助を実施します。この一連の過程で考えた内容と技術を実演して学習成果として発表します。
附属病院のスキルスラボは、現場の看護師のための教育の場です。ラボの高機能シミュレーション人形と場所を借り、学生はいつもと違う緊張感のあるなかで、ラボの教育担当看護師に人形の変化する症状の観察ポイントを教わりながら学んでいます。今後、学生のEIを育むために、この演習をさらに発展していく予定です。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.45』(2021年12月発行)から抜粋したものです】