グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

看護学の基礎ってなぁに?
 ~看護職者のスタートライン~

2019.6.26

看護学の基礎ってなぁに?
 ~看護職者のスタートライン~

医学部看護学科・准教授 福録 恵子

福録准教授の写真

看護学科棟前にて

看護学の基礎を学ぶ

現在「看護理論と看護過程」「看護技術論」といった、主に1年生、2年生が学習する看護の基盤となる科目を担当しています。

「看護理論と看護過程」では、患者を身体面、心理面、社会面といった側面から全体像を捉えるために、理論を用いて様々な情報を整理、アセスメントし、より良い状態に向かうよう看護目標や看護計画をたてるための基本を学びます。

図:えっくん、くすくん
図:看護過程の構成要素

「看護技術論」では、様々な看護技術のうち、注射や採血、点滴に関する技術項目を担当しています。授業では、シミュレーションモデルを用いたリアリティーのある演習を展開しています。また、事例患者を設定し、適切なケアをグループメンバーで討議、計画、実施するといった複合的看護技術演習を行っています。知識と技術を総動員させ、仲間とディスカッションすることで、多様な考え方を共有したり、判断力を身につけることができます。3年生の秋から始まる臨地実習で、受け持ち患者への看護を実践できるよう、ベースとなる基礎看護学はとても重要な位置づけとなります。

点滴静脈内注射の演習風景

点滴静脈内注射の演習風景

リハビリテーション看護に関する研究

私はリハビリテーション看護を専門に研究しています。これまで、背骨が後方に凸に変形してしまう脊柱後彎(せきちゅうこうわん)を有する高齢者に対して、在宅でのバランストレーニングプログラムの介入を行ったり、地域密着型クリニックを拠点とし、運動器不安定症高齢者への運動プログラムを提供してきました。また、運動継続のための支援システム開発による転倒・骨折予防に取り組んできました。

予防介入効果の評価として、活動量や筋力の測定などを行いますが、歩行状態(歩行時のつま先やかかとの上がり方や、姿勢、歩幅など)を動作解析装置により分析し、視覚的フィードバックとして定期的な看護面談を取り入れることは、対象者の運動継続を促し、意欲を向上させ、ADL(日常生活に必要な動作)やQOL(生活の質)の維持向上につながります。

現在、世界的な高齢化が深刻化しており、健康寿命の重要性が増しています。加齢に伴って筋肉量が減少したり、骨が脆弱化するため、運動器疾患のある高齢者は転倒、骨折のリスクが非常に高まります。そのため、医療専門職や工学系研究者と連携しながら、転倒・骨折予防システム開発に向けた基盤を確立していく予定です。具体的には、IoTやセンシング技術を活用して、運動器不安定症高齢者の日常生活行動をモニタリングし、転倒・骨折予防とともに、効果的な自立支援の確立を目指したいと考えています。

参考資料

運動器不安定症とは

定義:高齢化にともなって運動機能低下をきたす運動器疾患により、バランス能力および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態。

「運動器不安定症」は、例えば「歩行時にふらついて転倒しやすい、関節に痛みがあって思わずよろける、骨に脆弱性があって軽微な外傷で骨折してしまう」などの病態を疾患としてとらえ、それに対する運動療法などの治療を行うことによって重篤な運動器障害を防ぐことを目的に、この病態を認識していただくために命名された疾患概念です。(日本整形外科学会)

IoTとは

今までインターネットにつながっていなかったモノをつなぐことをIoT:Internet ofThings(モノのインターネット)と呼んでいます。IoTにより、センサー情報をインターネット経由で受け取ることができ、様々なモノの状態や位置を知ることができます。また環境(温度、湿度、気圧、照度、騒音)を知ることができます。

ゼミ生とともに

▲ゼミ生とともに
ゼミ生は、それぞれのテーマで看護研究を行いますが、看護師国家試験の勉強と平行しつつ、またメンバーで互いに協力しながら論文作成を進めます。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.41』(2018年12月発行)から抜粋したものです】