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心血管病を克服する
Translational(トランスレーショナル)研究のチカラ

2024.4.25

医学系研究科・教授 坂東 泰子

坂東先生ら

Translational Research(TR)とは

「橋渡し研究」と日本語で訳されます。基礎研究成果を社会応用に橋渡しすることは、実社会を変える原動力になります。最近の例では、新型コロナウイルス感染症対策や心筋再生医療です。未知のウイルス感染症を封じ込めたのは、治療薬やワクチン開発など科学のチカラがなければ成し遂げられませんでしたね。科学的思考を養うことはあらゆる分野で重要であり、大学という場所は、科学的思考を研究により実践できる特別な場所です。

基礎研究成果によるTR例

心不全パンデミック時代とTR ―私たちの基礎研究

私は循環器内科医ですが基礎研究を主軸とし、特に心不全のTRが専門です。高齢化社会の現代、心不全パンデミックと呼ばれるほど心不全が増えていますが、心不全は重症化すると、がんよりも生命や生活に悪影響が大きく長期間続くため、その予防が重要です。私たちのチームは、心不全最大のリスクである糖尿病による心筋障害メカニズムの解明に取り組み、現在は心筋線維化のメカニズムの解明に取り組み、新たな診断法や重症化予防治療法の開発を目指しています。

心臓のなりたちと心不全のTR

多様な研究チームが世界を変える ―腫瘍循環器の例

国民の死因1位のがんと、2位の心疾患は密接な関係があります。例えば、がん治療の副作用として心血管病は少なくありません。患者さんが治療を中断せずにがんを克服するには、心血管病対策が必要です。三重大学には総合がん治療センターや腫瘍領域及び循環器領域の基礎・臨床研究者集団による腫瘍循環器学リサーチセンターが開設され、私もその一員です。本学はがんを多様な専門家によるワンチームで克服する体制が整っています。

薬物性心血管障害に関する図

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.48』(2023年12月発行)から抜粋したものです】