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見えない菌類の未知の多様性を解き明かす

2024.5. 1

生物資源学研究科・准教授 白水 貴

白水准教授の写真

菌類とはどんな生物?

菌類(真菌類)は、きのこやかび、酵母、地衣などから構成される真核多細胞性の微生物です。これらの菌類の一部は、食品や医薬品の原材料や、農作物の病原菌として私たちの生活に密接に関わっています。また、私たちが生きる陸上生態系において、菌類は寄生者・共生者・分解者として様々な生物間相互作用や物質循環の要を担っています。このように、生物資源としても生態的機能群としても重要な菌類ですが、推定種数100万種以上といわれる多様性のうち、私たちはたった1割程度しか知り得ていません。

さまざまな菌類の写真

菌類はどれほど多様で、どのように進化してきた?

私は菌類の未知の多様性や生態の解明を目指して研究しています。野外調査、顕微鏡観察、分離培養、分子生物学的手法により、植物に寄生するかびや木材を分解するきのこなどの様々な菌群の多様性や生態について調べています。腐朽材など環境中のDNAを解析することで、肉眼では見ることのできない未知の菌類を検出したり、DNA塩基配列の情報を解析することで、これらの菌類がどのように進化してきたのかを推定したりしています。

植物寄生菌が持つ奇妙なかたち

微生物である菌類を知ることで広がる世界

菌類の多様性や生態に関する研究を進めるとともに、これらの微生物の面白さや生き様のすごさについて一般向けに解説することもライフワークとして続けています。講演や書籍の執筆、監修などを通して、研究で得た知見をわかりやすく伝えることも、専門家としての大切な仕事の一つだと考えています。日常生活の中で菌類などの微生物の存在に気づけるようになれば、この世界の解像度が増し、人生がちょっと豊かになるのではないかと思います。ぜひ一度、菌類に関する本を手に取ってみてください。

執筆や監修をした一般向けの菌類の書籍

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.48』(2023年12月発行)から抜粋したものです】