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水がそばにあるという「奇跡」!

2023.10.24

生物資源学研究科・教授 岡島 賢治

岡島教授の写真

あなたの街も実は水不足?!

水道の蛇口をひねると水が出る。私たちは日常的に水を使っていますが、実は安全で自由に使える水がこんなにもそばにあることは、それほど当たり前のことではありません。三重大学のある津市も、その水道水の4分の1の量をなんと、津市から50kmも離れた木曽三川の1つ長良川からもらっています。津市は実は、日常的に水不足の街なのです。

そして、日本の水利用量の3分の2を使っているのが農業用水です。水不足の街で田んぼの一つ一つに水が張られている様子は奇跡の風景と言えます。

日本の水資源の現況

水を送る施設を守り続けるための診断・補修補強技術の必要性

水を送る施設には、ダム、頭首工(堰(せき))、水路など多くの施設があります。ところが、2022年に明治用水頭首工で漏水事故があり、一時的に下流に水を送ることができなくなりました。それによって、水を多く使っている農業だけでなく、中京地域の主産業である工業や発電所にも影響が生じました。

戦後急速に整備されていった水を送っている施設は、50年を過ぎて老朽化が進んでいます。適切に点検・補修をしていかなければ、事故が発生するリスクが高まります。

点検・補修補強の技術開発ではあらゆる手段を使ったイノベーションが起こっている

人々の生活を守るために、水を送る施設では点検のための計測技術開発、補修補強のための新材料開発が行われています。計測技術開発では、従来の方法以外にも、音、超音波、電磁波、光、熱といった様々な計測方法が使われています。まさに、新たな発想で新たな計測方法が生まれる技術開発のイノベーションの最中です。私たちも、超音波や光といった方法での計測技術開発を行っています。デジタル技術の発展とともに成長している若い人の柔軟な新たな発想が求められています。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.47』(2023年7月発行)から抜粋したものです】