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保育の場で子どもの遊び心をはぐくむ

2020.7.13

保育の場で子どもの遊び心をはぐくむ

教育学部・教授 富田 昌平

富田教授の写真

研究室にて

遊びに楽しさと面白さを

最近、子どもの遊びがなんだか小さくてきれいでまともになり過ぎていませんか?そんな保育現場からの心配の声をよく耳にします。私の専門は幼児心理学です。これまでは主に子どもの想像力やファンタジー理解の発達について研究してきましたが、最近は子どもの「遊び心」に注目しています。幼児期の教育は遊びを通して行われるもの。しかし、遊びの中で教育が強調されればされるほど、遊び本来の魅力が薄れてきているようなのです。遊びに必要なのは夢中になれる楽しさや底抜けの面白さ。そのことを遊び心の研究を通して今一度確認したいと思っています。

学生がつくったペープサート(紙人形)

学生がつくったペープサート(紙人形)。物語は遊びの世 界を広げます。

遊びたがる子どもの下品な笑い

遊び心とは、辞書的には「遊びたがる気持ち」「まじめ一方ではなく、ゆとりやしゃれ気のある気持ち」と定義されます。子どもは「おしり」「おなら」「カンチョー」など下ネタが大好きです。またお笑い芸人のギャグもうんざりするくらいにマネします。最近では『おしりたんてい』や『うんこ漢字ドリル』なども流行っています。そこにはくだらないことでやたらと遊びたがる子どもの姿が見え隠れします。なぜやりたがるのか、どのように発達するのか、保護者へのアンケートで調べてみました。

グラフ:下ネタやギャグをするようになった時期とその累積割合

大人のくだらない嘘を笑いに変える

大人も子どもと遊びたがります。「実はお父さんはオオカミ男なんだ」など、くだらない嘘をついて子どもを驚かせたりします。そうした大人の遊び心を子どもはいつ頃からキャッチしてくれるようになるのか。幼稚園で遊んでいる子どもに、女子学生が「実は100歳なんだ」と声をかけたらどんな反応をするか調べてみました。これらの研究からわかったことは、子どもは日常から逸脱した遊びや笑いが大好きだということ。その動機も様々で、発達するほどにバリエーションが豊かになります。子どもの遊び心を保育や子育ての中でどう育んでいくか。今後も研究を通して考えていこうと思います。

グラフ:「 先生、実は100歳なんだ!」という大人のくだらない嘘に対する子どもの反応

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.43』(2019年12月発行)から抜粋したものです】