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即興的な表現とコミュニケーションの探求
~インプロ(即興演劇)と教職の接続~

2024.4.25

教育学部・准教授 園部 友里恵

園部准教授の写真

インプロってなに?

私の専門は「インプロ」と呼ばれる即興演劇です。「演劇」というと、台本があって、それを仲間と覚えて、何度も何度も練習して、舞台で上演して、観客に見てもらう、といったことをイメージしがちですが、私のやっている「インプロ」には台本がありません。これから何が起こるか誰にもわからない状態で、共演者や観客とともに、その場で起こっていることを手がかりに物語を生み出していきます。けれど「舞台」、言い換えると誰かに「見られる」のはとても怖いこと。どうすればそうした恐怖を乗り越え、私たちが本来持つ創造性を自然に発揮していけるか、ということにインプロはチャレンジしています。

学生チームの実践の様子

「ゲーム」形式で学ぶ

インプロのおもしろさの1つは、その理論が「ゲーム」というかたちで蓄積されていること。私のインプロの先生であるキース・ジョンストンは、舞台上で起こる様々な問題を解決するために様々なゲームを開発しました。ゲーム形式になっていることで、例えば演劇経験のない人であっても、楽しくゲームに取り組んでいるだけで自然に演劇の世界に入っていくことができます。インプロが演劇界を越えて様々なところに応用・活用されているのも、気軽に取り組める「ゲーム」があるから。教育現場を中心に様々なところで行われています。

ジョンストンの書籍とワークショップ参加証

インプロと教師教育の世界をつなぐ

教師の仕事とインプロにはつながりがあるのではないか、教師教育にインプロはどのように貢献できるだろうか。そうしたことを実践的に探究していくために【教師×インプロプロジェクトin三重】を始動させました。学校の先生をめざす大学生・大学院生や、現職の先生たちとインプロ実践に取り組んでいます。「失敗」を恐れない学習環境をいかに生み出せるか、子どもたちの豊かな表現を引き出すためには教師としてどう働きかければいいか、など、実際にインプロをやってみたことで生まれる気づきを大切にしながら探究しています。

インプロワークショップの様子とワークショップのチラシ

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.48』(2023年12月発行)から抜粋したものです】