教育学部・教授 金子 淳

データに基づいた科学的・効果的な授業
毎日、スポーツ選手の活躍が伝えられています。なぜ、あのような活躍ができるのでしょう?もちろん、才能や努力もあるでしょうが、スポーツ科学の貢献も大きいと思います。データを取って分析して、科学的で効果的なトレーニング方法を開発してきたからです。これと同じことを、学校や教育現場で行っていこうという取組があります。「教育ビッグデータ」の利活用、「教育DX」などと呼ばれています。私は、この研究に取り組んでいます。
取組の成果をデータで検証
昨年度、ある学校でICTを活用した国語の授業改善の取組を行いました。一年間、タブレットを通じて授業の『振り返り』を行うと同時に、家庭学習にも取り組みました。そして、年度末にその成果を検証する目的でアンケートを行いました。



データの可視化
検証の結果、「まとめる力がついた」、「要約できるようになった」、という回答が多く、効果があったことがわかりました。その反面、国語の『振り返り』を『書く』のは『時間』がかかる、という声もありました。なんとなく、国語の苦手な生徒が書いたのかな?、と思ったのですが、データをよく見ると、国語が好きだと答えた生徒(グループ1、2、4)が書いていました(好きではない生徒(グループ3)はそもそも何も書いていませんでした)。やはり「カン」は当てにならないですね。今はもう、AIやデータサイエンスを使って、データをもとに授業に取り組んでいく時代なのです。
【この記事は『三重大X(えっくす)vol.47』(2023年7月発行)から抜粋したものです】