新物質を大発見!
〜もう難病も怖くない ?! 〜 

2015.6. 1

新物質を大発見! 〜もう難病も怖くない ?! 〜
医学系研究科・教授 成田 正明

成田教授の写真

命名!「マンセリン」!

マンセリンの顕微鏡写真

私たちはストレスの指標となる新しい種類の神経ペプチドを発見し、「マンセリン」と名付けました。発見当初は慢性疲労症候群の発症との関連に着目していたので、「慢性疲労」をもじって「マンセリン」としました。星の名前と同じで見つけた人が名付けていいんですよ。ペプチドとはアミノ酸が連なってできている短いタンパク質のことをいいますが、そのうち神経ペプチドは脳からの指令を伝達するだけでなく、呼吸・血圧などの調整、こころのホルモンを分泌するなど、生命の維持に欠かせない機能も持っています。新たな神経ペプチドの発見は難病の解明や治療薬の開発にもつながるため、生命科学分野の研究者たちは新発見を目指し日々研究に取り組んでいます。

新発見へのみちのり

ところが神経ペプチドは脳内には微量しか存在しないため、そう簡単には見つからず、これまでも約100種類が発見されたに過ぎません。今回私たちが発見した新しい神経ペプチド「マンセリン」はラットの脳から抽出に成功したものです。新しい神経ペプチドを見つけるために、従来は動物の脳をまるごとたくさん集めて、脳の中のどこかの部分にある大事な生理作用、例えば血管収縮作用や細胞増殖作用などのような活性を持つ部分を探し求めて、脳のこの辺か?あの辺か?と試行錯誤しながらひたすら狭めていく作業が必要でした。それはまるで、広大な砂漠の中から一粒の光る砂金を探し出すような膨大な作業でした。ですが、私たちはペプチドの暗号に注目することで、アミノ酸の抽出に成功し、「マンセリン」発見につなげたのです。

説明図:ペプチドって何?

説明図:ペプチド抽出作業のイメージ

マンセリンが変える未来

「マンセリン」は生体がストレスを感じた時にいっしょに働きます。つまり体の中のマンセリンの量を測定すればその人がどの程度ストレスを感じているかわかるはずです。また「マンセリン」は体の中で活発に再生を繰り返している場所に多く存在します。その特性を手がかりに、私たちは「マンセリン」が前立腺癌の発生や進行の指標になることを明らかにしました。もしかすると、病院の検査項目への追加や患者さんから「マンセリンを測ってほしい」という要望が来る日も近いかもしれません。さらに、将来「マンセリン」の働きをコントロールする薬を創ることができたなら、癌の進行を食い止められる可能性も秘めているんですよ。実は私、これでノーベル賞狙ってます! ガチで。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.30』(2013年7月発行)から抜粋したものです】