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人との「つながり」が人を救う!!

2017.5. 8

人との「つながり」が人を救う!!

医学系研究科看護学専攻・講師 児玉 豊彦

稲垣教授の写真

「つながり」はこんなにスゴイ!!

健康で長生きしたいという思いは多くの人が持つ願いですが、最近、健康と「つながり」の関係が注目されています。

「つながり」とはいわゆる人間関係の事です。この「つながり」が健康に大きな影響を与える事が明らかになってきました。ある研究※によれば、社会的に孤立している人は、そうでない人よりも死亡のリスクが高く、「つながり」は喫煙よりも寿命に大きな影響を与える事が分かりました。つまり、孤独は喫煙よりも身体に悪いのです!

なぜ「つながり」が健康や寿命に良いのか、その詳しいメカニズムはまだ分かっていませんが、いくつかの理由が考えられています。

考えられる「つながり」のメリット

※Holt-Lunstad J, et al. (2010): Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review, PLoS Med, 7(7), e1000316

こころの病を抱えている人は孤立しがち...

私は精神看護・精神保健を専門に研究をしていますが、残念な事にこころの病を抱えている人(精神疾患患者さん)は周囲から孤立しがちです。こころの病を抱えている人が、地域社会でその人らしく生活するためには、就職の相談窓口や経済支援の制度など、地域にある社会サービスや制度を利用し、地域社会や地域の住民とのつながりを作る事がとても重要です。ですが、こころの病を抱えている人は、「そもそも、そういった施設やサービスの存在を知らない」、「利用の仕方が分からない」等といった理由で、未だに地域とのつながりを支援する施設やサービスを十分に利用しているとは言えない状況です。

こころの病を抱えている人が孤立しがちな理由

ICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)を活用して「つながり」作りを!!

そこで私はICTの力を借りようと思いました。具体的には持っている携帯電話(スマートフォン)に、その地域にある社会サービスや制度に関する情報をメールで伝え、利用を促進させようというわけです。そうすることでこころの病を抱えている人に、少しでも地域とのつながりを作っていきたいと思っています。このようにメールの自動配信のシステムを利用して、地域社会とのつながりを支援する効果の検証を行っています。今はこころの病を抱えている人でも、ほとんどの人が携帯電話やスマートフォンを持っています。そして携帯メールを利用することはたくさんのメリットがあります。

携帯メールを利用することのメリット

このような研究は世界でもあまり例を見ません。この取り組みが上手くいけば、多くの国や地域で、孤立を防ぎ、皆がつながりを持てるような社会の実現に役立てる事ができるのではないかと思います。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.37』(2017年1月発行)から抜粋したものです】