地球とともに生きる

2015.6. 1

地球とともに生きる   生物資源学研究科・教授 坂本 竜彦

坂本教授の写真「光の街(三交不動産)」のソーラーパネルの前にて

ひと粒の砂に「これまで」の地球システムの進化を見る

説明図:深海堆積物は地球の記録

「地球のことが知りたい」高校生の時に見た映画をきっかけに、地球科学を学ぼうと北海道大学に入学、大自然の中で地質学を学びました。ひと粒の砂やひと握りの海底の泥に「悠久の地球の歴史」や「宇宙の記録」が秘められていることに気付き、以前勤務していた北海道大学や海洋研究開発機構では、巨大な掘削船で太平洋、地中海、北極海、ベーリング海といった世界の海の深海堆積物を採取し、地球システムの進化を研究してきました。過去の地球の研究は、地球の未来予測のアーカイブデータとなるのです。

限界をむかえつつある、「いま」の地球システム

説明図:グリーンイノベーションの方向性

過去の地球システムを学ぶことで、「いま」の地球は何十億年という長い年月をかけて生命とともに進化したハビタブルプラネット※ということが分かります。しかし、現在は地球を脅かす人類的課題が山積みです。特に、エネルギー問題は深刻で、人類は貴重な化石燃料を産業革命から200年という短い時間で使い切ろうとしています。また、化石燃料の消費は地球温暖化を招き、大気中の二酸化炭素量は人類が経験したことのない水準にまで達してきています。
地球は、複雑な要素が相互に関連しながら、ひとつの生命体のように進化するシステムであり、私たちはその一部です。危機に面した地球を救うために私たちに求められていることは、化石燃料に依存したシステムから脱却し、自然と調和した「地球とともに生きる」持続可能な社会を目指していくことです。
※ハビタブルプラネット=生命が生存可能な惑星

「これから」の地球システムの具体的ビジョンを描く
~"グリーンイノベーション"の必要性~

説明図:持続可能な地球システム

私の研究室では、「持続可能な地球システム」を実現するための「グリーンイノベーション」をテーマに研究しています。具体的には「自然エネルギー社会」への具体的なビジョンや方策です。欧米の環境先進国の成功例を学ぶと、単に自然エネルギー技術が普及するだけでは真のグリーンイノベーションは訪れていないことが分かります。ポイントは「地域内循環システム」を構築することです。地域にある自然エネルギー(太陽、風、森林、海、生命)によるエネルギー自給自足を達成し、第一次産業と結びつけて地域の経済が活性化する仕組みができているところに、これからの持続可能な社会の未来像があります。これを小さな自治体レベルから住民参加の中で作り上げていくことが大切です。
「地域」をキーワードに、循環、環境保全、生態系調和、自然共生などを達成する未来社会の実現のため、理学的な地球システム像の解明、工学的な技術の開発、人文・経済学的な社会研究、地域住民参加の仕組みづくりといった学際的な研究こそ、地域の拠点としての大学に求められています。

【この記事は『三重大X(えっくす)vol.30』(2013年7月発行)から抜粋したものです】