重点リサーチセンター
次世代型VLPワクチン
研究開発センター
Research Center for Development of Recombinant VLP Vaccines
センター概要
本センターでは、三重県発のベンチャー企業であるバイオコモ株式会社と共同で、乳幼児の感冒の原因ウイルスのひとつであるヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)に由来する細胞質型RNAウイルスベクター BC-PIVを用いた遺伝子組換えワクチン開発を行ってきた。
我々はCOVID-19の出現前から、人類を脅かす新興・再興感染症に対して迅速にワクチンを作製できるプラットフォームを構築しておく必要性を感じていた。日米欧中で国際特許を有するBC-PIVは、最強クラスの遺伝子発現能とベクターの非増殖性を両立させた我が国独自の技術であり、動物実験での有効性は世界最高クラスである。経鼻ワクチンに対する日本政府の考え方がかなり慎重であったこともあり、COVID-19ワクチンではmRNAワクチンの後塵を拝したが、有効性・安全性の両面から将来的には経鼻ワクチンが主流になっていくことを予想する免疫学者は少なくない。今後、新興感染症が出現した場合、独自のワクチン迅速開発能力を備えておくことは国防面でも意義が大きい。BC-PIVは感染防御のみならず、がん治療への応用も可能であり、三重大学から科学技術での世界貢献が期待できる。
研究開発の方向性に関しては、現在、世界的に最もワクチンが渇望されている感染症のひとつであるRSウイルスに対するワクチン開発に焦点を絞り込み、プロジェクトベースでの大型予算獲得につなげた(令和5年3月)。今後、更に研究を加速させ、RSウイルスワクチン開発に関する臨床第I相試験を令和7年度中に開始し、その後、海外企業に導出する予定である。臨床第II、III相試験は導出先の企業で行い、今後種々のBC-PIV基盤ワクチンを社会実装するための呼び水にする計画である。
他に、BC-PIVを用いた次世代型抗がんウイルスの開発も行っている。