次世代型VLPワクチン研究開発センター

卓越型リサーチセンター

次世代型VLPワクチン
研究開発センター

Research Center for Development of Recombinant VLP Vaccines

センター概要

人類を悩ます感染症を制圧する最も有効な手段は、効力が高く安全なワクチンを迅速に提供することである。
現在、有効なワクチンが存在しない感染症は未だ数多く存在する。アンメット・メディカル・ニーズの中でも特に致死性感染症を引き起こす病原体に対するワクチンの開発は現代の医学界に残された喫緊の課題である。遺伝子組換えワクチンは、最近の目覚ましい遺伝子工学の発展により、遺伝子配列を元にして迅速にワクチン抗原候補となる蛋白を作製することができるため、従来法のワクチン作製の問題点を克服できる可能性が高い。こうした背景により次世代型VLP(Virus Like Particle、ウイルス様粒子)ワクチン研究開発センター(図1)が設立された。

次世代型VLPワクチン研究開発センター

我々は成人にはほとんど病原性を示さない呼吸器系RNAウイルスであるヒトパラインフルエンザ2型ウイルス(hPIV2)をベクター化し、遺伝子組換えによるウイルス再構築法を用いたウイルス粒子表面蛋白改変型VLPワクチン創成プラットフォーム技術を開発した。
元々、我々の教室で開発されたhPIV2ベクターは、その優れた遺伝子発現特性に加えて、地元ベンチャー企業であるバイオコモ(株)との共同研究の成果(マスター細胞バンクの樹立(GMP)とウイルスの遺伝学的非増殖(通常細胞では感染性ウイルスが産生されない)技術、ベクター表面への効率的な抗原蛋白搭載技術、低濃度のβ-propiolactone(BPL)による独自の不活化新技術)を組み合わせることにより、三重大学オリジナルの画期的なプラットフォーム技術に進化させることに成功した(図2)。

独自のウイルス産生工場:Vero/BC-F

技術的にはウイルス表面蛋白の改変自体が可能なことは水疱性口内炎ウイルスVSVを基盤としたベクターにおいて既に報告されており(Schnell MJ et al. Proc Natl Acad Sci USA 93: 11359-11365, 1996)、エボラウイルスGP遺伝子を発現させたVSV-EBOVワクチンがサルにおいてエボラウイルスの感染防御に有効であったという報告もある(Mire CE et al. Nature 520: 688-691, 2015; Marzi A et al. Science 349: 739-742, 2015)。
しかし、これらは遺伝子組換えの古典的増殖型生ウイルス(感染細胞で感染性ウイルスが産生され、ウイルスが増殖する)であり、ワクチンとして本来具えるべき要件である安全性に大きな疑問が残る(増殖型VSVは家畜伝染病予防法上も問題)。

我々は安全性が担保されたプラットフォーム技術を構築し、完全非増殖型次世代VLPワクチンとして、ヒトでの実用化を目指している。
ワクチンには、基礎研究と共にグローバル展開を見据えた実用化開発が必須である。次世代型ワクチンの実用化には国際特許戦略が極めて重要である。
我々は、hPIV2組換えワクチン(基本骨格をBC-PIVと命名)に係る複数の国際特許出願を行い、うち1件は日米欧中で特許が成立し、もう一件も日米中で特許が成立した。 また、新規アジュバントに関する国内特許出願、さらにはBC-PIVを用いたT細胞活性化抗腫瘍ウイルスに関する国際特許出願も終えている。
これらはすべてバイオコモと三重大学が出願人になっている。 BC-PIVプラットフォーム技術は、遺伝子配列さえ判れば、理論的にはあらゆる種類の病原体からがんに至るまで、予防・治療ワクチンの創成が可能となる画期的なシーズである。

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