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31_三重県におけるアートマネージメント養成プログラムの開発(継続3年目)

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

三重県は2014年に策定した「新しいみえの文化振興方針」において文化振興に関わる人材育成として「アートマネージメント人材育成」を掲げており、本学も県の方針に従い、人材育成講座を開講してきた。2014年度から2016年度までは、文化庁の「大学を活用した文化芸術推進事業」の採択を受け、「地域の舞台芸術振興のための特色あるアートマネージメント人材育成~<生きる力>を育むためのアートカリキュラム~」を開講することで、アートと地域をつなぐ「アートマネージメント」の役割の重要性を考察し、実践的な活動を行ってきた。2017年度からは、本支援助成を受け、アートマネージメント養成プログラムの開発を行なっている。

2017年度、2018年度は三重県文化会館と共催で「アートマネージメント人材育成講座」を本学において開講した。また、2018年度は平田オリザ氏を招いて「文化による地域創生」をテーマに講演会を行い、より具体的な考察を行った。アートと地域(社会)を媒介する「アートマネージメント」とは、具体的には芸術が教育や医療、社会福祉の現場と繋がって共に活動・発展できるような文化振興の人材育成を目指すものである。三重県は2020年東京オリンピック・パラリンピック以降のレガシーとして芸術文化や伝統文化の振興の推進が課題であることを示している。三年目を迎える2019年度は、東京オリンピック・パラリンピック開催の前年にあたり、県内でも様々な文化活動が開催される中で、本学と協定を結ぶ三重県文化会館と共催でアートマネージメント養成プログラムの開発をさらに進める。

【必要性】三重県は文化振興に関わる多彩な人材育成を目的としており、アートと地域とを結びつける「アートマネージメント」の考え方を身につけた人材が三重の地で育成されることは、三重県の文化度を高め、三重県の地域振興に繋がることも予想される。文化振興においては、アートを享受するだけでなく、教育や福祉の現場においてアートを生かして、様々な立場の人たちが交わることで相互理解を深めるきっかけにもなる。そのようなアートを生かした文化振興がこれからの時代にはますます必要となる。

【目的】三重県での「アートマネージメント人材育成」は、県の文化振興の目的のひとつでもあり、2019年度も本学と三重県文化会館との共催による活動と多角的な視点からのプログラム開発を行っていく。本活動を通して、大学という場が単に学際的な場だけであるのみならず、文化的・創造的な場でもあることを発信しながら、三年目の総括として新たなプログラムの創出を目論見とする。

2.活動地域と内容

恒例となった本学での「アートマネージメント人材育成講座」については、県内の市町村の公共施設の職員や文化振興課の職員に声をかけて講座を行う。昨年、舞台技術講座は、出張講座として伊賀市と南伊勢町で講座を行ったところ好評だったため、2019年度も出張講座を開講する予定である。なお、2019年度は本支援助成の三年目ということもあり、シンポジウムを行う予定であり、現在、共催の三重県文化会館と内容吟味を行っている。

3.期待される活動成果等

「アートマネージメント」の考え方は、必ずしもアートの現場だけでなく、社会の中で必要とされる考え方である。というのも、異なる者たちの価値観が交わるアートの場でのマネージメント力というのは、成熟した社会を実現するためにも必要不可欠な能力であるからである。それは、ローカルなボランティア活動から公共の場、そして、国際交流の場まで広く対応する能力でもある。本プログラム開発からアートの現場へ人材輩出できることが望ましいが、それに限定せず、それぞれの現場で「アートマネージメント」の考え方を取り入れることで、一人ひとりがより成熟した社会形成を担うことが期待される。

また、舞台技術講座においては、津市以外のホールでの舞台技術向上に寄与し、津市以外の地域の人々が質の高い芸術文化を享受することが期待される。

→2019年度活動状況報告書