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31_小山田総合施設群を拠点とした介護老人保健施設における地域性を踏まえた看護職・介護職の教育プログラムの開発

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

国の療養病床再編計画に伴い主要な転換先の一つである介護老人保健施設(老健)は、医療的ニーズを必要とする入所者がさらに増加してくるものと考えられ、質の高いケアを提供することが求められている。老健における看護職の役割は、利用者の健康管理診療の補助、療養上の世話およびリハビリテーション等とされ(全国老人保健施設協会編、2000), さらに介護職とよりよい関係で協働し、リーダーシップを発揮することや介護職への教育を行うことも求められている(日本看護協会調査研究課編、1996)。しかしながら、老健における職員の配置基準は、入所者100 人につき介護職25 人、看護職 9 人で、看護職は、介護職に比べ少ない割合である。このように少ない人数の看護職に求められる役割は大きいものの、教育・研修がすでに経年毎にプログラム化されている病院とは異なり、老健では様々な職種が協働していることもあり、その教育システムは試行錯誤の段階にある。また、老健のケアの質を高めるためには、看護職への教育のみならず老健における職員の過半数を占める介護士のスキルアップをどのように行っていくかが重要となってくる。実際、介護老人保健施設での看護識や介護士への現任教育については、病院での現任教育に比べ、これまでほとんど注目されてこなかった。日本看譲協会(1996)が実態調査を行っているが、この調査では看護職と介護職を分けていないため、それぞれの職種にどのような教育がなされているかは明らかではない。

申請者が、これまでの研究活動を通して訪問した老健の看護および介護管理者の聞き取りからもこのような現状は明らかであった。多くの管理者が、利用者の重症化や看取りの増加に伴い、医療事故防止、エンドオブライフケアに関する研修や継続教育などの施設内教育システム構築、さらに看護職および介護職のキャリア開発や人材育成のシステムの充実により、離職防止につなげたいという希望がある。しかしながら、教育を実施できる人材の不足や看護職の高齢化で学習の動機づけが難しいなど様々な理由で実現しない現状がある。 そこで、本活動では、施設からのコンサルトを経て、山田総合施設群の小山田老人保健施設を拠点とし、看護職・介護職の効果的な人材育成のための教育プログラム構築を行うことを目的とする。

2.活動地域と内容

四日市市小山田総合福祉施設群における看護職・介護職の教育プログラムの構築

3.期待される活動成果等

効果的な教育プログラムが構築されれば,モデルケースとして三重県内の他の福祉施設への導入も可能であり, 福祉施設群における看護職および介護職のスキルアップと人材育成が可能となる. また,本学にとっては,高齢者施設の教育システムの充実により看護職として三重県内の高齢者施設への就職も期待され,地域で活躍する人材を生み出すことが期待できる。

→2019年度活動状況報告書