clear
27_津市における芸術文化振興活動の拠点と街づくり

【活動の概要】

1.本活動の背景、必要性、目的
 2013年9月、本学は「文化芸術振興基本法」および「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」の基本理念に則り、三重県文化会館の指定管理である三重県との間に「実演芸術の振興等にかかる連携に関する協定」を締結した。協定書の冒頭には、「実演芸術の振興等を通じて、心豊かな県民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与する」ことが目的としてあげられている。
 本活動は、一昨年から本学の教員を中心にしながら、三重県文化会館および津市内で公演や街づくりの企画を精力的に行っているNPO法人パフォーミングアーツネットワークみえの協力を得ながら、津市の街づくりにおいて、芸術文化の有効性を共同で調査、研究を行ってきたが、三年目を迎える今年は、これまで扱ってこなかった課題に取り組むことで、集大成を行いたいと考えている。
 本活動は、芸術文化の<社会的役割>とは何かを考えながら、芸術文化の振興を図るために、地域住民が気軽に参加できる演劇ワークショップをはじめ、地域住民にも開かれたリーディング公演や落語などを学内で積極的に開催してきた。これらの企画は大変好評で、本学の企画がきっかけで芸術文化に触れる地域住民も多く、アンケートでは今後の継続性が強く求められている。それを踏まえた上で、今年は芸術文化の<社会的役割>をさらに推し進めるために、芸術文化が社会福祉の分野においてどのような役割を果たすのか、その点について研究を深め、活動を行う予定である。それというのも、そもそも芸術文化は、健常者だけでなく、病を抱えた人や障碍者、高齢者、子供たちなどすべての人たちが享受し、参加する権利を持つが、しかし、そこには様々な制限を伴うため、その領野での芸術文化の提供はハードルが高いという課題がある。津市内においても、芸術文化と社会福祉との関わりについて、必要性は叫ばれているものの、いまだに発展途上であるといえる。本活動も三年目を迎えることから、健常者だけではなく社会的弱者に対しての芸術文化の役割やアプローチの仕方を考察し、街づくりという視点においても地域の中での芸術文化のさらなる推進を行っていく必要があると考えている。
 本活動は、大学と劇場や文化施設が互いに協力・連携しながら芸術文化を振興することで、津市民の文化度を高め、芸術文化が根づいた街づくりを目的とする。一昨年から本学の施設を用いて、リーディングや落語公演、演劇ワークショップなどを行っているが、学生だけでなく地域住民も参加することで、様々な地域交流が生まれている。大学という空間が学際的な場であるだけでなく、文化的・創造的な場であることを発信しながら、本年も芸術文化が浸透した創造的な街づくりを目指していくことを目的とする。

2.活動内容
 芸術文化の<社会的役割>を考えながら、今年は通常の本学の施設での企画だけでなく、大学病院の施設も用いながら、リーディング公演や音楽コンサートなどを企画する予定である。大学病院の職員はもちろんのこと、病院を使用している患者さんたちにも公演に参加してもらうことで、ソーシャル・インクルージョンとしての芸術文化の可能性について実践的な活動を行っていく。

→平成27年度活動状況報告書