マイクロバイオーム研究センター

重点リサーチセンター

マイクロバイオーム研究センター

Microbiome Research Center

研究内容

臓器線維症は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚など、全身のあらゆる臓器で発生し、線維化を起こした臓器は、最終的に機能不全に陥る。臓器線維症は有効な治療法がなく、先進国において疾患関連死亡原因の45%を占めるといわれており、そのメカニズム解明は医学的な重要課題となっている。我々は、新規に発見した細菌叢由来ペプチドcorisinが細胞死を誘導することにより、肺線維症の病態悪化に関与し、corisinを阻害することにより実験的には治療効果が得られることを明らかにした。またcorisinやcorisin類似ペプチドが肺以外の様々な臓器由来の細胞でも細胞死を誘導することや、corisinが急性肺障害や腎不全など肺線維症以外の疾患モデルでも病態に関与することを明らかにした。細菌叢由来ペプチドの研究は、細菌叢が臓器線維症をはじめとした難治性疾患を引き起こす新たなメカニズムの解明や新規治療法の開発につながる可能性がある。

本研究は、臓器線維症をはじめとした様々な難治性疾患における細菌叢の違いを解析し、細菌由来因子による組織傷害の分子機構を解明すると共に、新規の診断法とおよび治療法を開発することを目的とする。臓器線維症はあらゆる臓器で起こるため、専門分野の垣根を超えた相互協力が必要であり、本リサーチセンターにより様々な分野の研究者の共同研究体制の構築を目指す。また、活動を通して、当該研究課題に取り組む次代を担う新進気鋭の若手研究者を育成する教育研究拠点としての役割を担うことも目的とする。細菌叢研究は2005年に次世代シーケンサー(NGS)が登場してから急速に進歩した新しい分野であり、未解明な部分が多い中で、我々は細菌由来ペプチドが疾患の発症機序となることを世界で初めて報告した。本センターにより、細菌叢と疾患の関連を解明することによって、細菌叢分野において、本センターが世界をリードする研究施設となることを目指す。

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