平成16年度三重大学個別学力検査(前期日程)における
「数学」の不適切な設問についてのお詫び

 本学の平成16年度個別学力検査(前期日程)において、このたび不適切な設問があることが判明いたしました。受験生の将来を左右するとも言える入学者選抜試験において、誤りは 許されないことであり、受験生の皆様に多大なご迷惑を与えてしまったばかりでなく、入試に対する国民の皆様の厚い信頼を損ねたことに対し、受験生、保護者の皆様そして国民の皆様に深くお詫び申し上げます。

◇判明の経緯

 本年10月14日に、予備校の方から「数学」(教育学部、生物資源学部)の試験問題の問[4-2]に不適切な点があり、「解は存在しないのではないか」とのご指摘がありました。 このご指摘を受け、検討した結果、設問で設定されている関係式は問題冒頭の条件と矛盾するため、この問題の正解 は「条件を満たす関数は存在しない」となる不適切な問題であったことが判明しました。

◇不適切な設問の内容

 問[4-2]は(1)と(2)に分かれていますが、問題が生じるのは設問(2)だけになります。設問(2)では受験生が問題を解いていくと、最後に求めた関数の定数項を決めなければ なりません。この定数項は設問中の条件を用いて一見簡単に求めることができます。当初はこれを正解としていましたが、実はこの答えは正解ではなく、検証を行うと矛盾が見つかり、結局正解は「条件を満たす関数は存在しない」ということになります。この解答は出題者が意図したものとは異なる不適切なもの ですが、受験生が高校等で学習してきた通常の解き方で解答すると、指摘される前まで正解としていた解答が求められてしまいます。

設問(PDF)   指摘前の解答 例(PDF)   指摘後の解答例(PDF)

◇不適切な設問に対する大学の対応

(A) 受験生に不利益をもたらさないことを最優先にしつつ、採点の公平さも保つ観点から、改めて採点方針を立て、採点を見直しました。
(B) 見直した採点方針とは、次の三点です。
@ 問[4-2]の(1)の採点方針は変更せず、問[4-2]の(2)のみ採点方針を見直す。
A 問[4-2]の(2)について、解答の最後に関数の定数項を決めなければならないが、この定数を求めようとすると矛盾が生じる。そこでこの定数項をどのように定めても、あるいは求めていなくても正解とする。
B 「条件を満たす関数は存在しない」など矛盾を指摘した解答は正解とする。

◇(B)の採点方針をとる理由

(1) 問[4-2]の(2)の不適切な部分が影響を及ぼすのは、f(x)の定数項を決める箇所のみであり、定数項以外の部分は問題なく、適切に求めることができます。
(2) この問で意図するものは、積分を正しく計算できるかを見るものです。その学力を測るのは定数項を決定する前までであり、定数項を決めるのは付随的な部分です。したがって採点方針(B)のような処置をとっても、本設問で測ろうとする学力の基本的部分は正確に測ることができます。

◇採点見直しの結果

 上記採点方針の(B)にしたがって採点をし直した結果、合否に影響が出た受験生はおらず、追加合格に該当する方はいませんでした。
 全ての答案用紙を再度慎重に点検した結果、不利益を受けた受験生はいないと判断しました。

◇今後の対応

 今後このような事態が起こらないよう、学内に調査委員会を設置し、原因の究明と再発防止策を講じ,信用と信頼の回復に努めてまいる所存です。
 なお、今回の件につきましては、社会に対する説明責任を果たすべく、10月22日(金)本学において記者会見を行い、公表いたしましたことを併せてご報告いたします。

平成16年10月22日

 

三重大学長 豊田長康

 

なお、本件に関するお問い合わせは下記窓口にお願いいたします。

対応窓口

三重大学学務部入学試験課入学試験係

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