ゼブラフィッシュリサーチセンター
Zebrafish Drug Screening Center研究内容
本リサーチセンターでは、ゼブラフィッシュを用いて抗癌作用(膵臓癌・大腸癌・前立腺癌)・抗肥満(血糖・脂質低下)作用を持つシード化合物・天然物由来成分の探索研究およびそれらの薬物送達技術の開発を行っています。
また骨粗鬆症や老化(サルコペニア)、腸内細菌叢など幅広い分野においてゼブラフィッシュを用いた研究開発も行っています。
他分野との融合研究として、バイオ分野(細胞・マウス・微生物)のみならず、化学(合成)・薬学(薬物送達)・工学(機械学習・ロボット)・病院(患者由来サンプル)・環境(モニタリング・マイクロプラスチック)の各分野の研究者と、そして様々な民間企業との幅広い共同研究を実施しています。
肥満・糖尿病
- 新規スクリーニング技術
- 機能性食品
- 腸内細菌
- 糖尿病腎症
悪性腫瘍
- 前立腺がん
- 悪性黒色腫
- 抗がん剤送達
- 抗がん剤応答試験
その他
- 学習機能・うつ病
- 骨粗鬆症
- 皮膚色素沈着・薬物送達
- ナノ粒子・環境RNA
- ソフトウェア開発
保有技術
- 稚魚を用いた内臓脂肪スクリーニング
- 内臓脂肪・脂質異常症モデル
- 2型糖尿病モデル
- がん移植モデル
- 各種薬物送達技術
- 酸化ストレス・免疫細胞可視化モデル
- 摂食量スクリーニング
- 学習機能評価システム
- 骨粗鬆症モデル
- 体内ATP可視化モデル
- 小型次世代シーケンサーによる細菌叢解析
- ソフトウェア開発
- 開発中
- 糖尿病性腎症モデル筋肉老化モデル卵巣がんモデル概日リズム機能評価
社会的背景
製薬企業では、タンパク質-タンパク質などの分子間相互作用、疾患モデル細胞など疾患発症過程の部分現象を切り出し、その現象への作用効果を調べること、つまり細胞や標的タンパク質を用いた化合物スクリーニングにより、新規治療薬候補を探索しています。
この評価原理の方法では、選出された候補化合物の大部分がマウスなどの実験動物を用いた「in vivo」検証系では薬理効果が出ない、毒性が出るなど、予測不可能な現象が発生することで脱落してしまいます。結果的に製薬企業における新薬開発コストを引き上げ(Berg EL, et al. Drug Discov Today. 2014)、患者・社会福祉経済を圧迫する深刻な問題となっています。
この問題を解決する創薬技術の1つとして、ゼブラフィッシュ (Zebrafish, Danio rerio) を用いる研究開発が活発化しています。
ゼブラフィッシュは魚類ですが、全ゲノム配列ではヒトと80%の相同性があり、遺伝子数もヒトとほぼ同じです。主要臓器・組織の発生・構造もヒトと良く似ており、受精卵から分化して各臓器が形成される過程が透明な体を通して観察できるため、蛍光物質を結合させた生体内小分子の可視化ができます。
また、遺伝子操作が容易かつ短時間ででき、突然変異系統も200ほど報告されているため、遺伝子機能解析に最適です。コスト面でもマウス等のげっ歯類を利用した動物試験に比較すると1化合物あたり1000分の1以下になることが試算されており、ゼブラフィッシュを評価動物として用いる方法 「ゼブラフィッシュスクリーニング」が、採算性が見込める現実的なスクリーニング技術として新薬開発プロセスに用いられています。