新たな需要を喚起する循環型農業リサーチセンター

新たな需要を喚起する
循環型農業リサーチセンター

Research Center for Sustainable Agricultural System Stimulating Consumer Demand

研究内容

農作物の生産体制の確立

農作物の生育状況と栽培環境の関係を把握することは、品質や収量を含む生産性の向上に不可欠である。
そこで、栽培圃場の気温・日射・飽差などの気象条件、水分量や地温などの土壌データといった栽培環境データを継続的に観測し、その環境下における作物生育量や受粉の効率、病害虫の発生状況とその対応、最終的な収量等について、データの蓄積を行う。

生産物の機能性評価

対象とする農産物の隠れた商品価値を見出すためには、薬・食品・微生物資源としての機能性を実験科学的に調査する必要がある。
そこで、農産物に含まれる有用活性成分の単離・構造決定を行い、培養細胞および実験動物を用いて、成分の機能性を詳しく評価する。
また、農産物に含まれる有用微生物を単離し、その機能・役割を明らかにする。

作物残さの利活用

農産物の副産物として生じる作物残さの有効利用法の一つとして、耕畜連携による利活用に注目する。残さに含まれる成分を把握し、家畜の飼料とすることで、家畜の免疫や健康性の向上について検討する。
また、家畜糞の効率的な堆肥化の検討を行い、さらに農産物栽培土壌へ投入した際の栽培成績を評価する。

消費者需要の推定

農産物や食品に対する消費者需要を明らかにする。上記1~3の特徴を持つ農産物や食品に対する消費者の金銭評価を統計的に推定することで、実際に消費者がどれくらい購入する可能性があるかを明らかにする。その上で、ブランド化や地域社会の活性化にとって有益な提言を行う。

研究例

三重県産アテモヤの付加価値および消費者需要の調査

バンレイシ科植物のアテモヤは「森のアイスクリーム」と呼ばれるほど食味に優れており、三重県の紀南地域でも生産されている。
アテモヤに含まれる成分に極めて高い抗癌活性があることが報告されており、薬や食品としての利用可能性を目指し機能性成分の探索が求められている。
本リサーチセンターでは、アテモヤ(品種:ピンクスマンモス)の種子について実験科学的に成分分析を行い、ヒト口腔類表皮がん細胞の増殖を強く抑制するアセトゲニン類化合物1つを単離している。また、機能性成分の有無等のアテモヤの付加価値が消費者評価に与える影響について、オークション実験を含むアンケート調査を通して明らかにしている。

梨園におけるヒツジの放牧実験

近年、耕畜連携による除草作業の省力化や生産性の向上が注目されている。ここでは、附属農場内の梨畑においてヒツジの放牧実験を行い、ヒツジの健康への影響(行動調査、増体と血液検査、寄生虫検査)および、下層の植生量の変化と土壌の物理化学性(土壌養分、土壌硬度、土壌の保水性・透水性)の変化について調査を行っている。

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