地域脱炭素バイオマス研究センター

重点リサーチセンター

地域脱炭素バイオマス研究センター

Regional Decarbonization Biomass Research Center

研究内容

(1) バイオマス開拓研究

県内,国内でのバイオマス原料の資源量を把握し,適切に集材して確保すること,バイオマス資源として用いることができる新たな植物の探索,開拓に関する研究を行う。サゴヤシのような資源作物や飼料用イネ,ソルガムなども新しいバイオマス資源として期待される。また,これらを地域の課題解決,例えば荒廃農地等の有効活用などに結びつけた研究も推進する。

【研究内容】
  • GIS(Geographic Information System)による木質バイオマス資源の集材範囲の推定
  • リモートセンシングデータによる広域の木質バイオマス資源の把握
  • UAV(Unmanned Aerial Vehicle,ドローンなど)による単木材積の推定
  • 中山間地域の林地保全を目指した太陽光パネルの配置
  • 荒廃農地の活用としての木質バイオマス(ヤナギ)生産
  • セルロース系バイオエタノール原料作物の栽培技術開発
  • サゴヤシの栽培
  • ソルガムの栽培
  • 植物の根の利用性
  • 微細藻類の培養

(2) バイオマス発電研究

木質バイオマス発電,バイオマスの熱利用などに,各種バイオマスを燃料として供するための炭化,ペレット化,粉砕性を向上させる半炭化と呼ばれる処理などの研究を行う。またバイオマス資源にはミネラルが含まれており,副産物となる燃焼灰の有効利用に関する研究を行う。

【研究内容】
  • バイオマス燃料の発熱特性に関する基礎研究
  • 外部熱源不要な半炭化技術の開発
  • 半炭化過程における木材成分の変化
  • 半炭化バイオマスのペレット化
  • 微細藻類の水熱炭化
  • 木質バイオマス発電所から排出される焼却灰の肥料としての有効性の検証
  • 木質バイオマス発電所焼却灰と牛糞の混合による焼却灰に含まれる六価クロムの無毒化

(3) バイオマスマテリアル研究

バイオマス資源は,燃料として使うことが可能であるが,本研究グループでは,国内,海外より収集されたバイオマス,あるいは,食品廃棄物などを燃焼させずに,建材などに利用,比較的容易な物理的破砕や蒸解で得られる繊維や粉体を,飼料や材料として活用する研究を推進する。燃焼や生分解では,植物中の炭素は二酸化炭素として放出され,カーボンニュートラルとなる。バイオマスを炭化した「バイオ炭」の農業利用や地中貯留は,カーボンネガティブ技術として新たに注目されている。

【研究内容】
  • 建築物・建設活動の持続可能性に関する評価手法の開発
  • バイオマス炭化によるバイオ炭製造
  • 各種バイオマスの飼料化,消化性調査
  • 米ぬかを利用したウシのげっぷ中のメタン低減化
  • 生分解可能なバイオボードの開発研究
  • 生分解可能な農業用マルチシートの開発
  • 植物工場における生分解可能な溶液栽培用培地の開発
  • オールバイオマス三次元成形によるプラスチック代替
  • セルロース系バイオマスのイオン液体への溶解・紡糸
  • セルロースナノファイバーの調製/利活用
  • セルロース繊維と有用リグニンが得られるバイオマス成分分離プロセスの開発
  • 木質系新素材のLCA

(4) バイオケミカル研究

脱炭素社会構築に向けて,「バイオマスリファイナリーシステム」の確立が期待される。現在市場にでているバイオエタノール,バイオマスプラスチック(バイオポリエチレン,ポリ乳酸など)は,さとうきび由来のショ糖や,とうもろこし由来のデンプンを糖化,発酵,化学合成により得られたものであり,"第一世代"とも呼ばれる。しかしこれらは食糧との競合問題があるため,木材,竹,稲わらなど,セルロース系バイオマス資源の利活用が重要となる。これまで数多くの国家プロジェクトが行われているが,いまだ国内で実用している事例がない。しかしながら,生物資源学研究科には当該分野の研究者が多く,バラエティ豊かな「三重(みえ)バイオリファイナリー研究」をアピールできる可能性がある。木材,竹,稲わらなどの主成分は,セルロース,ヘミセルロース,リグニンである。バイオマス中のセルロースやヘミセルロースは微生物,酵素,酸を用いて加水分解して単糖へと変換し,発酵により様々なバイオケミカル(液体燃料や化学原料)を生産する。リグニンは芳香族系高分子であり,植物から新規プロセスによりうまくとりだして,芳香族系バイオマスプラスチックなどとして利用する。また各種バイオマスのメタン発酵に加え,バイオ水素生産もホットトピックである。

【研究内容】
  • サゴヤシデンプンの利用
  • 微生物が生産するバイオマス分解酵素遺伝子の発現制御機構解明
  • 植物細胞壁分解性微生物の探索
  • セルロース分解酵素セルラーゼの研究
  • 未利用バイオマスからの同時糖化発酵システムの開発
  • 単糖と有用リグニンが得られるバイオマス成分分離プロセスの開発
  • 酵母を用いた糖質発酵
  • 酵母におけるストレス応答と炭素源代謝
  • バイオブタノール,SAF(Sustainable aviation fuel)の研究開発
  • 微生物発酵によるL-乳酸生産
  • 新規リグニンの構造解析・用途開発
  • メタン発酵
  • 微生物を利用したバイオマスからの水素ガス生産

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