カンナビス研究基盤創生リサーチセンター

重点リサーチセンター

カンナビス研究基盤
創生リサーチセンター

Cannabis Research Center

研究内容

 本リサーチセンタープロジェクトでは、戦後国内初かつ唯一の大麻の総合学術研究拠点として、①日本大麻の遺伝資源の維持・保護、②低THC性の産業用新大麻品種の開発、③安全性を保証するカンナビノイド成分分析機関の設立、④日本大麻に関する基礎知見の蓄積を達成するための以下の研究を行います。

1. 適正な研究体制・設備・機関の確立と維持
 大麻に関連する研究を実行するために、以下の免許・設備・情報ネットワークを確立し、法律に則った適正な研究体制を構築する。

・各種免許の取得

 大麻の研究栽培および実験サンプルの取り扱いに必要な大麻取扱者免許(研究者用)と、THC・CBD等カンナビノイド成分分析に必要な麻薬研究者免許を取得する。

・大麻栽培の認可栽培温室・圃場の整備

 大麻の研究栽培に必要な基準(温室:入口の施錠・監視カメラの設置・周囲からの遮蔽、圃場:高さ2m以上の柵で周囲から隔離・監視カメラの設置)を満たす栽培体制を学内に整備し、認可を得る。

・大麻研究専用の実験室・環境の整備

 大麻種子・サンプルの保存および実験を行う際に必要な基準(入口の施錠・鍵付き専用保管設備等)を満たす実験室を整備し、認可を得る。

・関連省庁、関係者とのネットワーク体制の構築

 適正な研究体制を維持するために、厚生労働省・農林水産省・三重県医療保健部・津保健所・国内外の大麻栽培者・研究者らとのネットワークを構築し、大麻栽培・研究に関する最新の状況や情報を得る。

2. 国内の遺伝資源収集による日本大麻シードバンクおよびデータベースの構築
 10都道府県に散在している神事・伝統用大麻品種・系統の種子を収集し、維持・保護するための日本大麻シードバンクを設立する。また、収集した種子を学内認可圃場で栽培し、各種形質や特徴を調査することで、草型・草姿・成長速度・開花特性(光周性)・環境適応性・病害虫罹患性・各種カンナビノイド含有量等の農業形質をカタログ化した大麻データベースを構築する。
野生大麻の収集・調査についても適正な方法で遂行し、日本の遺伝資源を保護して海外流出を防止する。

3. THC・CBD等カンナビノイド類の成分分析体制の構築
 開発する大麻品種や大麻原料素材等の安全性評価のためのTHC・CBD等カンナビノイド含有量の分析・検査体制を確立する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)・液体クロマトグラフィー質量分析計(LC/MS)等の定量分析装置、薄層クロマトグラフィー(TLC)等の定性分析器具を整備し、大麻成分の抽出?定性・定量分析に資する研究設備・施設を整備する。

4. 産業用新大麻品種の開発
 過去(神事・伝統)・現在・未来産業の重要な原料素材となる低THC性の安全な産業用大麻品種を育種開発するために、以下の研究を行う。
・構築したデータベースの情報を基に交配に用いる系統を決定し、それらを交配親とした新品種作出のための交配を行う。
・交配により得た次世代種子を栽培し、優良個体を選抜する。
・優良個体のTHC・CBD等カンナビノイド成分分析を行い、低THC性の評価を行う。
・世代促進し、優良個体を遺伝的に固定する。
・優良な大麻を効率的に栽培するための必要施肥量、耕耘深度、栽培密度等の作付け体系の決定を行うとともに、最適な病害虫防除法の選定や連作障害を防ぐための裏作作物の選定を行い、栽培体系を確立する。

5. 産業用新大麻品種のパイロット大規模栽培による検証
 産業用新大麻品種候補である優良個体を圃場で試験栽培し、各種特性(形質)の圃場検定評価を行う。これにより、選抜時の優良形質が圃場における大規模栽培でも発揮されるか検証する。また、圃場栽培個体におけるTHC・CBD等カンナビノイド成分分析を行い、大規模栽培レベルでも低THC性であることを確認する。
 伊勢神宮と結びつきが深い伊勢市および斎宮跡を有する明和町をパイロット栽培地とし、日本神社が神事に使う大麻の大規模栽培の有効性と社会的影響の評価検討を行い、今後の三重県および日本各地における大麻栽培の体系化と産業化の端緒を得る。この現地試験栽培については、明和町・伊勢麻振興協会等との産官学連携体制で進める。

6. 日本大麻の農学的・生物学的・植物学的基礎知見の確立
 我が国の伝統的大麻農業の再興・継承に加え、大麻の総合学術研究拠点として、戦後70年超の学術的研究空白を埋めることと来る日本版グリーンラッシュに向けての研究体制と基盤を確立するために、大麻に関する農学的・生物学的・植物学的な基礎研究によって大麻という植物に関する知見を蓄積する。

 以上の研究に取り組み、マリファナ原料になり得ないTHCが極めて少ない安全な神事・産業用大麻の開発と社会実装を目指すとともに、日本版グリーンラッシュに向けた体制整備、各種産業への将来展開のための学際的な大麻総合学術研究拠点の確立を目指します。

期待される成果 期待される成果 期待される成果 期待される成果

TOP