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精神に障がいを抱えながら子育てする親と子どもへの支援

【活動の概要】
精神障がいの親と暮らす子どもは、親の示す症状にさらされ、その影響を受けながら生活しているが、誰にも相談することができずに一人抱え込んでいることが多い。
そのような子どもがSOSを発することができる環境づくりが必要と考え、『親&子どものサポートを考える会』を立ち上げ、こうした子どもの現状を伝える活動に取り組んできた。講演会等の開催やメディアで取り上げられることによって、“精神障がいの親と暮らす子ども”に関心が高まりつつあるが、子ども自身が持つセルフスティグマによってSOSを発しないため、支援に繋がりにくく、生きづらさを抱えたまま成長していく可能性が高い。障がいを抱える親も、子どもの養育を奪われることを恐れて専門家の援助を受けないことが多いと言われたり、障がいを抱える親の子育てが“虐待”と言われる状況に近くなっていることも指摘されており、親子で孤立してしまうのではなく、親子が気軽に相談し援助を求められる環境を整えていくことが必要である。そこで本活動の目的を、精神に障がいを抱えながら子育てをしている親とその子どもが支援を求めやすい環境作りとする。
実際の活動としては、精神的不安定さを抱えながら子育てしている親とその子どもに対して、『親&子どものサポートを考える会』や研究者に寄せられる相談に応じる形で(家庭訪問等アウトリーチによる面接)、必要な支援(⇒共同実施者が行う子育て支援プログラムや親支援、カウンセリングなど)に繋ぎ、子育て中の親が支援を求めたり、自信を持って子育てに当たれるようにしていく。家庭訪問等アウトリーチによる面接形式をとることによって、子どもが家族以外の大人と触れる機会を持ち、親の困難や悩みなどを相談する姿に触れておくことによって、子どもがSOSを出しやすい環境を作っていく。
また、こうした親子を身近で支える学校の教員、地域の民生・児童委員などを対象に、これまで行ってきたインタビューや親子の面接で明らかとなったことを伝達することで、理解を図り親子がSOSを発しやすい環境を作っていく。今年度は新たに、共同実施者と共に、こうした子どもへの支援に関わる者を対象に支援者研修(精神障がいの親と暮らす子どもの特徴やトラウマについての学習など)を行い、精神障がいの親と暮らす子どもの支え手を育成することで、支援を求めやすい環境を整えていく。
子どもが支援を求めやすくなる環境を整え、精神的支援を行うことは、トラウマ等への対応にも繋がり、発達面においても子どもの成長を促進させることができると考える。

→ 平成25年度活動状況報告書