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03_忍者活劇体験のプログラム開発による地域振興

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

伊賀市は忍者の聖地であり忍者市を宣言している。忍者に関心のある多くの観光客が国内外から訪れている。観光では、伊賀流忍者博物館の見学のほか忍者変身処での忍者変身がたいへん好評であり、観光の目玉になっている。しかし、ただ忍者装束を身にまとうだけでは、忍者を体験したとも、忍者を学ぶことができたともいえないのではないか。

欧米で1990年代から行われてきたレクリエーションにLARP(Live Action Role-Playing)がある。架空世界の登場人物となってフィールド内(建物や一定の敷地)を歩きまわり、会話や戦いなどを行いながらストーリーを楽しむ体験型のアトラクションである。脱出型ゲームやサバイバルゲームに類似するもので、参加者の他に司会進行役が存在し、ファンタジーやSFといった世界観のもとで遊ぶのが常である。テレビゲームなどのRPGに似ているが実際に立って(Live)、行動して(Action)、なりきる(RolePlay)ところに特徴がある。欧米ではファンタジーやミステリーをテーマに大規模から小規模のものまで実施され、商業化されたメジャーイベントである。

このLARPを三重大学の忍者研究の成果を活用して日本化し、忍者を題材にした「忍者活劇体験」(忍者LARP)のプログラムを開発して、新たな観光の柱とするのが本事業の目的である。

LARPはもともとアメリカ発祥のため、西洋的ファンタジー世界を題材にしたものが多かった。西洋的ファンタジー世界を再現するには衣裳や道具そしてロケーションなどの獲得に様々な困難がともなう。これを日本を舞台にした時代劇とし、また忍者を主役にした「忍者活劇体験」(忍者LARP)にしてはどうかと考えた。伊賀市は古き日本のおもかげを残し、忍者変身処があるので忍者衣裳の用意に事欠かない。

すでに一年目の実施を完了した。一年目は春の伊賀NINJAフェスタと秋のいがぶらにくる観光客を対象とした「伊賀忍者活劇体験」プログラムを実施した。システムとシナリオはグループSNEの時代小説家の友野詳氏に作成してもらい、伊賀市石川で忍者道場を経営する三橋源一氏による技術指導を得て、国内でLARPに先進的な取り組みをしてきた体験型LARP普及団体CLOSSの協力で実施した。三重大学で忍者研究を行っている吉丸雄哉が内容を監修した。一年目では春に28名、秋に14名の参加があった。有料参加者では平均して客単価4500円の見込めることが判明した。

二年目は、新型コロナウイルス感染症のため実施にさまざまな困難があったが、2020年10月11日(日)に「灯りと忍びの城下町」において、地元伊賀で忍者パフォーマンスを行ってきた「忍び衆 華武姫」と共同して実施することができた。質の高いイベントを実施できたことで商業化の目処が立った。

本プログラムの開発により、ただ忍者衣裳を着るだけではない、一ランク上の忍者体験と学習を観光客に用意できることとなったが、最終年度となる本年度は商業的レベルへの成熟を目指し、新型コロナウイルス感染症によりダメージを受けた伊賀観光の回復に協力することを目的とする

2.活動地域と内容

  •  ①伊賀市において地元の忍者パフォーマンス団体華武姫と一緒に忍者活劇体験を実施する。活動を通じて忍者活劇体験(ライブアクションロールプレイング)のやり方を団体に伝授する。
    活動は具体的には次の通りである。
    伊賀市役所より2021年度は例年ゴールデンウィークに行ってきた伊賀上野NINJAフェスタは開催しないと聞いているが、4月29日(木・祝)から5月5日(水・祝)のゴールデンウィーク期間のうち2日間をつかって、観光客を対象に忍者活劇体験を実施する。具体的な日程は実施のメンバーや伊賀市と相談する。場所は伊賀市内の崇広堂など歴史的な施設の使用を考えているが、不可能の場合はハイトピア伊賀3階コミュニティ広場を使用する。
  •  ②11月6日(土)7日(日)に、伊賀市内の崇広堂などの歴史的な施設をつかって観光客を対象に忍者活劇体験を実施する。企画としては前々年度の秋企画と同様にいがぶらでの参加を考えている。

いずれも新型コロナウイルス感染症の影響がある場合は日程を柔軟に変更して開催する。年度の最後に過去三年間で使用したシステムとシナリオは冊子にする。

3.期待される活動成果等

本プログラムの開発により、ただ忍者衣裳を着るだけではない、一ランク上の忍者体験と学習を観光客に用意できるようになり、特にすでにLARPに興味のあった外国人観光客を多く呼べるようになる。新たな産業の創生と地域振興が期待できる。

また、三重大学での忍者研究の成果を体験学習のプログラムを通じて還元できる。

→2021年度活動状況報告書