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02_三重県の中大規模木造建築設計者の育成と空き家対策

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

平成 22 年 10 月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、中大規模木造施設を対象とした工法検討や技術開発が活発化している。しかし建築関連事業者は、中大規模の木造建築に関わる機会がこれまで少なかったことが原因で、木材を提供する森林林業従事者・木材製造流通事業者との適切な情報 共有がなされていないことが大きな課題となっている。そこで、三重県産材を活用した中大規模建築物の木造・木質化に取り組むために、森林林業・木材製造流通・木造建築に関して理解しておくべき事項を学び、地域の森林資源の有効活用につながる木材利用に関する基礎情報の共有を行う。具体的な設計演習を通して、木造建築物の設計監理の技術とノウハウを身に着ける試みを行う。

一方、全国的に空き家対策(中心市街地の空き家率:15%程度)は急務であり、上記育成者と共に、リフォーム等のハード面のみならず、利活用を含めたソフト面 にも力を注ぎたい。

2.活動地域と内容

【中大規模木造建築設計者の育成】

三重県農林水産部森林林業経営課と協力して、県内一級建築士を対象に中大規模木造建築設計者育成セミナーを平成30年度に引き続き、令和1年度も実施した。今年度からみえ森林・林業アカデミーの選択科目「木造建築」に組み込まれ、継続実施する体制を整えた。今年度の受講生は意匠設計者に加え構造設計者の受講者が増加し、令和2年度はそれらの割合が2:1となるよう実施予定である。

【空き家対策】

前任地である島根県において今年度含め8年余り活動を続けてきているが、継続活用のためには維持管理費がかなりかかり、施主の持ち出し負担の軽減が喫緊の課題であった。そこで令和1年度から、島根県・松江市・島根県立大学・東京大学との連携を強化すると同時に、管理・運営はNPOしまね住まいづくり研究会を中心として行う体制を整えつつある。また、松江の歴史と伝統の一つである茶文化を継承すべく、管理家屋に移築された茶室の利活用を、茶人らと協力して試みた。次年度以降、継続的に試行し、管理・運営体制を整えたい。

3.期待される活動成果等

全国的な上記課題に対し、一地方都市である三重県から産官学連携プランとして全国に提案でき、国内のトップランナーとして位置づけられるであろう。尾鷲・熊野に優良木を有し、松坂に木材コンビナートを有している三重県だからこそ活動成果達成は非常に高い。

→2020年度活動状況報告書