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02_論理的思考能力を育成するプログラミング学習の教材開発と東紀州地域での支援活動

【活動の概要】

1.本活動の背景,必要性,目的

2020年度より始まる新小学校学習指導要領では、プログラミング教育が必修化され、算数や国語、理科といった各教科の中でプログラミング教育を行っていくことが求められる。現在、様々な有料のプログラミング用教材が発売されているが、当地域の教育委員会は財政的に厳しい状況で、プログラミング教育に対する新たな財政支出は難しいのが現実である。また、教員も多忙を極めており、遠隔地で開催されるプログラミング研修会等へ出向く余裕もない。本活動では、インターネット上に無料で公開されているアメリカ・マサチューセッツ工科大学が開発したプログラミング言語「スクラッチ(Scratch)」を活用して、各学校での実施に向け、子ども(児童生徒)用の教材を作り、東紀州地域での学習支援をどのように進めていくかを検討する。特に、技術教育・情報教育の狭い枠組みでプログラミング教育をとらえるのではなく、小中学校で学ぶ算数・数学、理科、音楽、図画工作、英語など、教科学習と結びつけたプログラミング学習を考え、教材開発や出前授業を実践する。

本地域貢献活動で、過去2年間で東紀州7市町の小学校の約65%を訪れ、出前授業や教員研修を実施してきた。本活動は3年目となるが、未訪問校からの出前授業要請があると考えられるだけでなく、訪問校でも学年が変わると新しい児童生徒となるので、訪問要請は増えてくると考えられる。特に、2020年度からプログラミング学習が必修化されるため、その数は今年度同様かそれ以上になることが予想される。

2.活動地域と内容

東紀州サテライト東紀州教育学舎の活動範囲である地域の7市町(大台町、大紀町、紀北町、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町)内の全ての学校を活動地域とする。

活動内容は次のとおりとする。

  • 各市町教育委員会との共催によるプログラミング研修会の実施
  • 出前授業の実施
  • 各教科におけるプログラミング授業計画の作成等及び公開
  • デジタル教材の作成
  • 教員向けの自習デジタル教材の作成
  • Moodle(学習管理システム)を使った東紀州ラーニングコミュニティの立ち上げ

3.期待される活動成果等

プログラミング教育導入には様々な課題が報告されている(例:どのプログラミング言語を選択するか?どこから費用を捻出するか?)。そうした多様な課題を持つ当地域教育委員会の要望に応えることができる。また、教員がもつプログラミング教育に対する不安感を軽減することが期待できる。当事業による東紀州サテライトの活動が、他地域に広がり、県内において三重大学がプログラミング教育支援の中心地となることが想定される。また、Moodleを使った東紀州ラーニングコミュニティに教員を目指す学部生が入ることにより、学部生のengaged learning ができるなど、この活動成果を還元して、学部教育の一層の充実を図ることが可能である。さらには、プログラミングの基礎を体系的に学ぶことより、将来コンピュータを利用して地域創生を行う人材育成につながる可能性がある

→2020年度活動状況報告書